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2023/07/25

いじめや体罰の解決に期待 静岡県でも広がる「スクールロイヤー制度」とは

静岡県内の学校でも導入が進んでいるスクールロイヤー制度

■藤枝市や浜松市に続き 静岡市が県弁護士会と協定締結

いじめや不適切な指導など、教育現場での課題は多い。学校では解決や対応が難しい問題を法律的な視点から中立に判断する「スクールロイヤー制度」が静岡県内でも広がっている。藤枝市や浜松市に続き、静岡市でも静岡県弁護士会と協定を結んだ。

 

スクールロイヤー制度は学校内で起きる問題に弁護士が相談に乗るもので、法的観点から学校に対して指導やアドバイスをする。2020年度からスクールロイヤーへの相談費用を地方交付税で負担する取り組みが全国で始まった。

 

スクールロイヤーは中立的な立場から、子どもたちや教師が直面する悩みや問題が深刻化する前に解決を図る。静岡県では2021年に藤枝市がスタートし、今年4月に浜松市、今月24日に静岡市が静岡県弁護士会と協定を締結している。静岡市によると、いじめや不登校、教師による体罰や不適切な発言など、問題に直面する学校は以下のような手順でスクールロイヤー制度を活用する。

 

①対応に苦慮する事案が発生した学校が教育委員会に相談依頼

②教育委員会が学校側に弁護士への連絡を承諾

③学校が弁護士に相談

④学校が弁護士との相談内容を教育委員会に報告

⑤教育委員会が弁護士に謝礼支払い

 

■法律的な視点に偏らない? 中立性は保たれる?課題も指摘

スクールロイヤー制度は「子どもの最善の利益」を目的としている。そのため、弁護士は常に中立な立場で学校側へ助言し、相談の事案は児童・生徒に関するものに限られる。学校の代理人にはならず、学校と保護者の面談には同席しない。

 

政府がスクールロイヤー制度を推進する前から、全国では先進的に取り組んでいる自治体もある。東京都港区では2007年度に導入し、公立の幼稚園、小学校、中学校ごとに弁護士が登録されている。大阪府や三重県でもスクールロイヤー制度を活用し、教育現場の課題を解決しようとしている。

 

自治体によって温度差があるものの、スクールロイヤーには一定の効果やメリットがある。一方、教育のプロではない弁護士が法律的な視点に偏った判断をする可能性も指摘されている。特に学校側と子ども・保護者側が対立して裁判に発展した場合、弁護士が学校側を擁護するのではないかという懸念がある。

 

新しい取り組みには想定外の問題も起こり得る。スクールロイヤー制は「子どもの最善の利益」を実現する手段となるのか注目される。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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