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2023/07/29

言葉も分からず爬虫類の仕入れで海外へ 4度目から通訳なしで商談 外国語の習得法

仕事を通じて外国語を身に付けた白輪さんはタイ語、英語、フランス語を使って商談

■価格は日本の10分の1 高校卒業後はタイを往復

言葉も分からず18歳で初めてタイへ飛び、4度目に行った時は通訳が必要なくなっていた。河津町の体感型動物園「iZoo」を運営する白輪剛史園長の特集、今回のテーマは外国語の覚え方。学生時代に英語を勉強していなかったという白輪さんだが、今では複数の外国語を使い、通訳なしで商談している。

 

最初にタイへ行ったのは高校卒業後、18歳の時でした。日本で昆虫を売っていた知り合いから、タイで売買されている生き物の価格表を見せてもらいました。その金額に愕然としました。日本の10分の1の値段で生き物が売られているんです。

 

タイ語も英語も分かりませんでしたが、すぐにタイへ飛びました。初めての海外でした。当時は、日本は先進国なので外国人が日本語を話すのが当たり前だと思っていました。中学や高校で英語を勉強していなかったので、タイの人たちと全くコミュニケーションが取れませんでした。

 

まずは泊まる場所を確保するため、空港からリムジンタクシーに乗りました。タクシーの運転手に案内されたのは、真っ暗で汚い宿でした。翌日、タクシーの運転手に持参した爬虫類の本を見せて、「こういう生き物が売っているところへ行きたい」と日本語と片言の英語で伝えました。

 

■目当ては爬虫類なのに… タクシー運転手は宝石店を案内

タクシーは狭い路地を進み、生き物が売っている場所へ到着しました。ただ、売っていたのは食用のコブラで、私が求めていた爬虫類ではありませんでした。私が困っていると運転手からタクシーに乗るように促されました。

 

次に着いた場所は、旅行客を相手にした宝石屋でした。宝石を買うと運転手にマージンが入る店だと思います。その店には日本語ができるタイ人がいたので、「宝石はいらない」と言ったら、「それなら、帰れ」と追い出されました。そして、困っているなら日本大使館に電話すれば良いと言われました。

 

ガイドブックを見て日本大使館に電話すると、現地の旅行会社を紹介してくれました。まともなホテルに泊まることができ、1日3000円ほどで通訳も雇えました。命拾いしたと思いましたね。

 

通訳に日本から持ってきた爬虫類のリストを見せて、「ここに行きたい」と伝えたら、タクシーで連れて行ってくれました。コブラやカメを買って、日本に持ち帰れるように許可証を作成しました。

小学生向けに自身の経験や爬虫類について語る講座を開くことも

■空港でアクシデント 購入した爬虫類を日本に持ち帰れず

翌日、生き物を段ボールに入れて空港に行きました。ところが、アクシデントが発生します。タイ語だったので読めませんでしたが、税関で段ボールに何かメモされ、手荷物検査で段ボールをX線に通すと、周りがガヤガヤし始めたんです。

 

もう、通訳はいません。相手の言っていることが理解できませんでしたが、どうやら段ボールは日本へ運べないし、私自身も飛行機に乗れないようでした。税関は通ったのに、帰国直前で荷物の持ち帰りが認められず、飛行機にも乗れなくなったわけです。

 

途方に暮れていると、日本人女性が近づいてきました。その女性はタイ語がペラペラで、私の代わりに空港スタッフと交渉してくれました。結局、生き物が入った段ボールはあきらめざるを得ませんでしたが、4時間後の別の飛行機で日本に帰れることになりました。初めてのタイに行った時は、生き物を仕入れられませんでした。

 

その8か月後に再びタイへ渡りました。今度は最初から通訳を依頼して生き物を購入し、税関のスタッフには生き物が入った段ボールに何も書かないように伝えました。反省を生かして、生き物を日本へ持ち帰ることができました。

 

■4回目のタイで通訳不要 英語もフランス語も覚え方は同じ

4回目にタイへ行った時、19歳になったばかりの頃だと思いますが、もう通訳は必要なくなりました。必要なタイ語は覚えていたからです。

 

私は子どもの頃から生き物や植物にしか興味がなかったので、勉強ができるタイプではありませんでした。でも、タイ語も英語もフランス語も、外国語を覚える方法は同じです。

 

タイに行くと、1週間から10日滞在します。その間、通訳がタイ語で相手に伝えていることをカタカナでメモします。あとからメモを見て、それぞれの言葉と意味を通訳に教えてもらいます。通訳は私が伝えたいことを日本語からタイ語に変えているだけで、それ以上の話はしません。だから、通訳が話していることを覚えれば、自分が使いたい言葉を覚えられるわけです。

 

そのほかには、1から10までの数字を必ず暗記します。そして、自分が好きな単語や必要な単語を覚えます。あとは、「これは何?」という表現と、「ほしい」、「いらない」、「ありがとう」を覚えれば十分です。

 

■必要なのは2、3歳児の語彙力 失敗しながら覚える

例えば市場でほしい野菜を指さして、「5」、「ほしい」と言えば、その野菜を5つ売ってもらえます。野菜の名前は、店員が口にした時に覚えられます。生で耳にした言葉は忘れません。聞き取れなかったら、「これは何?」と聞けばいいんです。失敗しながら繰り返し使っていると覚えていきます。

 

よく「外国語が使えてすごいですね」と言われますが、考えてみてください。どこの国でも、2歳、3歳になれば、大人と日常会話できるくらいになります。子どもでも覚えられることを大人ができないわけはありません。

 

大人の脳で大人と同じように話そうとするから、「外国語は苦手、話せない」と言う人が多いのだと思います。そうではなくて、2歳、3歳児の語彙力で会話は十分できるという考え方を持つことが大切です。

 

それから、高校を卒業してすぐにタイへ飛んだ話をすると、「簡単にはできることではない」と言われますが、経験していないから簡単ではないと感じるだけです。やってみれば簡単です。大事なのは行動することで、実際に経験すると思ったより簡単と感じるはずです。

 

<プロフィール>

白輪剛史(しらわ・つよし)。1969年生まれ、静岡市出身。静岡農業高校卒業。幼少期から爬虫類に興味を持ち、1995年に動物卸商「有限会社レップジャパン」を設立。2002年から国内最大級の爬虫類イベント「ジャパンレプタイルズショ―」を開催。2012年に体感型動物園iZooをオープンして園長に就任。

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