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2023/08/05

新型コロナ新たな波 静岡県が警報発令 飲食店は苦悩「どっちを立てれば…」

新型コロナ対策で使用後のテーブルを消毒する飲食店も

■静岡県の新規感染者1日2100人と推定 注意報→警報

新型コロナウイルスの新規感染者数が増えている。静岡県は独自で設けている基準に即して「感染拡大警報」を発令した。飲食店は来客によって新型コロナへの警戒心に濃淡があるため、警報発令がトラブルの火種になる可能性があると懸念している。

 

厚生労働省は4日、7月30日までの1週間で新型コロナの新規感染者が全国で7万8502人確認されたと発表した。前週から1.14倍となり、新型コロナが感染症法上の5類に移行されてから11週連続で増加となった。

 

静岡県でも新規感染者の増加傾向が続いている。直近1週間(7月24日から30日)の定点医療機関当たりの患者数は16.92人で、県が独自に定めている警報の基準値16人を超えた。1日当たりの感染者数は2100人ほどと推定されている。

 

県は新型コロナの流行状況を分析して、警報レベルを設けている。7月14日に1医療機関当たりの患者数が8人を超えて「感染拡大注意報」が発令され、そこから3週間で注意報から警報へと変わった。

 

■静岡県が呼び掛け 「お盆の移動1週間前から人混み避けて」

県は新規感染者数の増加を抑えるため、「お盆に帰省や旅行を計画している人は、出発日の1週間ほど前から人混みを避け、マスクを着用するなど注意してほしい」と呼び掛けている。患者数が増えれば医療機関への負担が大きくなる可能性があるためと説明している。

 

県は今年1月、「新型コロナは風邪に近い」と強調し、その認識を1年かけて県民に広げると新型コロナ感染前の日常に戻すと宣言した。ただ、感染者が増加し、人の移動が活発になるお盆で感染がさらに広がる可能性が高いことから、独自の警報で県民に注意喚起している。静岡市内にある飲食店の店主は、県が示す方針に戸惑いを隠せない。

 

「感染者が増えても日常を取り戻すことを重視して行動規制を緩和したはず。新型コロナを風邪に近い感染症と強調してきた経緯を考えれば、お盆で移動する1週間前から人混みを避けるという呼びかけには違和感があります。マスク着用も個々の判断といっておきながら、着用を促しています。こういう軸が定まらない考え方を公表されると、飲食店ではトラブルの火種になる可能性があります」

 

■新型コロナの警戒に温度差 飲食店はトラブル懸念

この店主が心配するのは、新型コロナ対策をめぐる客同士のトラブルや店員に対するクレーム。店では、来客に対してマスク着用や消毒などを求めていない。以前は設置していたパーティションや検温もやめている。「風邪に近い感染症」に対策は必要ないと判断したためだ。

 

しかし、新型コロナへの警戒心は来客によって差が大きいという。パーティションの設置を要望したり、にぎやかな客への注意を求めたりする人もいれば、それに対し反発する人もいる。店側は県の見解に基づいて店を運営していると説明しているため、県の方針が二転三転すればトラブルの原因になりかねない。店主は、こう話す。

 

「うちの店ではお酒を提供しているので、気持ちが高ぶってしまうお客さまもいます。日常を取り戻す方向で進めるのか、コロナ対策を講じるのか、どちらの立場のお客さまを立てれば良いのか悩んでいます」

 

営業自粛要請や時短営業、酒類の販売制限など、新型コロナ感染が始まった当初から大きな影響を受けてきた飲食業。またも、難しい選択を迫られている。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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