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2022/07/20

間違った選び方していませんか? 専門店が伝えたい昔ながらのおもちゃの役割

静岡市街地にある子どもの本とおもちゃ専門店「百町森」

■心の知能指数を上げ、学習能力向上にも効果 アナログおもちゃが再注目

スマートフォンやゲームが年々進化する中、昔ながらのおもちゃの価値が再び評価されている。想像力を高める積み木や「ごっこ遊び」は、子どもの心の知能指数「EQ」を伸ばし、人間関係や社会生活を豊かにする効果が期待されている。ただ、おもちゃは選び方が大切。専門家は、子どものためにならない間違った選び方に注意を呼び掛ける。

 

静岡市にある子どもの本とおもちゃ専門店「百町森」には、全国から人が集まる。キャラクターものや電池で動くものは基本的に置いていない。店内には、選りすぐりの絵本や木製を中心にしたおもちゃが並ぶ。40年以上前に店をオープンした代表・柿田友広さんは、おもちゃの役割を、こう話す。

 

3歳未満の子どもの場合は、おもちゃが発達を促します。手先を動かして器用にしておくと、箸を持ったり、鉄棒をしたりすることにつながります。それから、言葉を覚えたり、まねをしたり、想像力を働かせたりするので、学びの基本になりますし、心も育まれます」

 

昔ながらのおもちゃには学びの要素が詰まっている。例えば、積み木は色や形を覚えることから始まり、高く積み上げ、組み合わせて物を作る。シンプルだからこそ、乳児から小学生まで幅広く楽しめる。積み方は無数にあり、どの積み木を選ぶかの判断力、完成をイメージする想像力が自然と磨かれる。

 

また、「ごっこ遊び」は役割や社会性が身に付く。遊びが円滑に進むように一定のルールを作り、一緒に遊ぶ人の気持ちを考える。周りの大人の言動を観察してまねるのは、学びの第一歩と言える。

絵本や児童書も専門店ならでは品揃え

■先を見据えたおもちゃ、子どもが好きなおもちゃはNG

こうした昔ながらの遊びやおもちゃが、「IQ」だけではなく「EQ」も高めると評価されている。IQが知能指数を表すのに対し、EQは「心の知能指数」を意味する。自分を知って感情をコントロールする能力や、相手の気持ちを理解して場面にふさわしい言動を取る能力を指す。EQを向上させると人間関係や社会生活が円滑になるため、重要な数値として注目されている。さらに、EQは学習能力を伸ばすとも言われている。

 

心を育てる効果があるおもちゃ。ただ、選び方を間違えると、せっかくの効果が薄れてしまう。まず、柿田さんが指摘するのは「対象年齢」。百町森の店内にある木のおもちゃは比較的、値段が高い。

 

そのため、子どもに長く使ってもらおうと、対象年齢が実際の年齢より上のものを選ぶ保護者がいるという。柿田さんは「年齢に合った興味のあるおもちゃで遊ぶから、子どもは夢中になって成長していきます。興味がないおもちゃを与えても意味がありません」と説明する。

 

それなら、子どもが好きなものだけ与えようという発想になりがちだが、子どもにほしいおもちゃを選ばせるのも正解とは言えない。柿田さんは「子どもは自分の行動範囲以外の知識や情報がありません。大人が子どもの年齢にふさわしいおもちゃを見極めてから、興味のあるものを選んでもらう方が良いと思います」と話す。

 

時々、子どもに「好きな物を選びなさい」と言っておきながら、「それは駄目」と文句を言う保護者がいるが、好ましい言動かどうかは言うまでもない。

 

再び価値が見直されている昔ながらのおもちゃ。「子どもが遊ぶ環境を大人が作ることが大切だと思います」と柿田さん。子どもにふさわしいおもちゃを大人が選べば、自然と成長していく。

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