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2023/10/25

1人で悩まないで! 小さく生まれた赤ちゃんと家族をサポートする展示会

県庁別館の富士山展望ロビーで開催されているポコアポコ主催の展示会

■ポコアポコ主催の展示会 県庁展望ロビーで11月5日まで

11月17日の「世界早産デー」に合わせ、静岡市のボランティア団体「ポコアポコ」が主催する展示会が始まった。展示会場の静岡県庁別館21階富士山展望ロビーには、小さく生まれた赤ちゃんの写真や早産を経験した母親や医療従事者のメッセージが並ぶ。早産で悩む母親たちに「決して1人ではなく、仲間やサポートしてくれる人がいる」と伝えたい思いが込められている。

 

世界早産デーは、早く生まれた赤ちゃんたちとその家族への関心を高める目的で制定された国際デー。国連機関や世界保健機関(WHO)、医療に関わる団体などが啓発活動を行っている。

 

静岡県では11月5日まで、県庁別館21階展望ロビーで展示会が開かれる。主催するポコアポコは小さく生まれた赤ちゃんの成長を見守り、その家族を支援するボランティア団体で、早産の赤ちゃんの成長を記録する「リトルベビーハンドブック」を静岡県内で初めてつくった。

開催に向けて展示作業を進める小林さんらポコアポコのメンバー

■早産経験した母親や医療従事者からのメッセージ

世界早産デーの公式カラーとなっている紫色で装飾された展示スペースには、赤ちゃんの写真や家族と医療従事者のメッセージが並ぶ。母親たちからの言葉には早産への不安がありながらも、我が子が成長する姿への幸せがにじむ。

 

「娘が体調を崩すたび、自分を責めてしまうことが、まだ時々あります。けど、娘の笑顔を見ると『この子のお母さんになれてよかった』と感じます。娘と一緒に焦らずゆっくり成長していきたいと思います♪」

 

「きょう出産しますと言われた時は涙が止まらず、それから毎日、保育器の中にいる我が子を見るたびに申し訳ない気持ちと元気に育ってくれるか不安でいっぱいでした。ミルクの量や酸素濃度など、スタッフの方々から教えてもらったことを記録し、それを振り返るたびに強く、大きくなっていることを実感していました」

 

小さく生まれた赤ちゃんの成長に喜びを感じるのは、医療従事者も同じ。苦労や喜びを共有した濃い時間を振り返るメッセージが並んでいる。

 

「私は小さな赤ちゃんたちが懸命に生きる姿に勇気をもらい、お父さん、お母さんとうれしそうに過ごすお子さんの笑顔を見て温かな気持ちになり、大きくなって頑張っている姿を見て自分のことのようにうれしく思っています。新生児科医になって本当に幸せです」

 

「いつも私たちの仕事は赤ちゃんたちの貴重な時間を一緒に過ごさせてもらうことなんだなと思っています。小さな小さな子たちが体重2キロくらいになって、ほっぺたにお肉を蓄え始める頃が私は大好きです」

 

■小さく生まれた赤ちゃんの家族を支援 県内に3つの団体

ポコアポコが展示会を開くのは今年が3回目となる。ポコアポコの代表・小林さとみさんは「同じ思いをした母親の気持ち、応援してくれる人がたくさんいることを知ってほしいと思います。小さく生まれた赤ちゃんの母親は心配が多いかもしれませんが、決して1人ではありません」と語る。展示会を通じて、自分を責めたり1人で悩んだりしがちな母親に、仲間や支援者がいると伝えている。

 

ポコアポコは創設から25年が経った。県内には他にも、「いちごの会」と「りとる☆えんじぇる」が小さく生まれた赤ちゃんや家族を支援する活動を続けている。今回の展示会では、3つの団体を紹介するスペースも設けられている。小林さんは「私たちの活動やリトルベビーという言葉の認知度は、まだ高いとは言えません。仲間がいることを、もっと広く知ってもらえたらと思っています」と話した。

 

世界早産デーに合わせて、11月3日には特別企画が予定されている。ポコアポコも後援する「次世代を守る!赤ちゃんの今と未来の健康セミナー」。専門家がリトルベビーの子育てポイントを講演したり、行政や医療による連携の在り方をパネルディスカッションしたりするプログラムが組まれている。

 

セミナーの会場は静岡市にある静岡県男女共同参画センター「あざれあ」。定員は120人で、一般の申し込みは11月2日まで(10月31日の申し込みフォーム終了後は日本家族計画協会へ直接連絡)。リトルベビーの家族は10月29日までにHANDSのホームページから申し込みとなっている。

 

(間 淳/Jun Aida

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