生活に新しい一色
一歩踏み出す生き方
静岡のニュース・情報サイト

検索

情報募集

menu

2024/01/02

浜松市3区で新たなスタート 人件費削減効果は不透明 人口バランスの悪さ影響は?

浜松市は1月1日から3区に再編

■1月1日から7区を3区に再編 年間6億5000万円削減へ

浜松市の行政区再編が2024年1月1日から施行された。これまでの7区から、「中央区」、「浜名区」、「天竜区」の3区となった。市は年間6億5000万円の節減効果につながり、行政サービスの低下も招かないとしている。

 

10年以上に渡った議論を経て、2024年の幕開けとともに浜松市の行政区再編がスタートした。これまでの「中区」、「東区」、「西区」、「南区」、「北区(三方原地区)」は「中央区」。「北区(三方原地区以外)」と「浜北区」は「浜名区」に変更。「天竜区」のみ従来のままとなった。

 

市は区の再編によって市制の機動力を向上させ、将来的には職員の数を減らして年間6億5000万円の人件費削減を掲げている。懸念されている市民サービスについては、業務のデジタル化を進めて「低下させない」としている。区役所は7つから3つに減少するものの、残りの4つの区役所を行政センターとして維持し、区役所と同じサービスを提供するという。

 

住民の意見や要望を市に届けるため、住民自治も形を変える。地元の声を集約する役割を担う「区協議会」は7つから3つに減少するため、新たに「地域分科会」や「地区コミュニティ協議会」と設ける。区協議会の担当エリアが広がって住民の声が行政に届きにくくなることを防ぐため、規模の小さな組織をつくって意見を集約する狙いがある。

 

ただ、地区コミュニティ協議会には市の担当職員を配置する。コミュニティは自治会連合会単位で市内50地区としており、職員の人件費は決して安くない。3区に再編したことによる節税の効果は半減すると言える。

 

■人口77%が中央区、天竜区は3% 市議の配分は?

他にも課題はある。気になるのは人口バランスの悪さ。行政区再編後は「中央区」が約60万8000人、「浜名区」は約15万6000人、「天竜区」が約2万6000人。面積が最も小さい中央区に人口の77%が集中し、最も広い天竜区は3%と差が大きい。

 

市は天竜区に区政担当副市長を置いて中山間地の課題に取り組む考えだが、人口の少ない天竜区が置き去りにされないのか住民の不安は消えない。

 

人口の偏りは市議会の議員定数にも影響する。これまでの7区の定数で現在の3区に市議を振り分けた場合、市議1人当たりの人口は中央区が1万8900人、浜名区が1万7300人なのに対し、天竜区は半分以下の8600人となる。市議の人数を削減するのか、配分の方法を変更するのかなど、議論が必要になる。次の市議選は2027年に予定されており、有識者の意見などを反映して来年5月までには方針が固まる見通しとなっている。

 

浜松市の行政区再編は鈴木康友前市長が2007年に就任して以降、本格的に検討を始め、2023年2月に再編に関する条例案が市議会で可決、成立した。鈴木前市長は2023年4月の任期満了をもって退き、中野祐介現市長にバトンが渡されていた。

 

SHIZUOKA Life編集部)

関連記事