2024/01/05
ファミコン連続100時間にママチャリ7時間 アナの“しょんない”仕事が財産
■「しょんないTV」担当 元アナウンサー広瀬麻知子さん
ニュース、情報番組、バラエティと約10年間のアナウンサー生活であらゆる分野の仕事を経験した。中には、100時間ファミコンをやり続けたり、7時間ママチャリに乗り続けたりする“特殊な”経験もあった。元静岡朝日テレビアナウンサー・広瀬麻知子さんのコラム「広瀬奮闘中」、今回は印象に残った仕事を振り返る。
テレビ局を退社して間もなく4年が経ちます。時々、アナウンサーの頃を思い出します。
バラエティ番組が好きでアナウンサーに興味を持ち、アナウンススクールに通っていた大学生の頃は情報番組のMCに憧れました。実際にアナウンサーとなり、バラエティ番組も情報番組も、さらに最後はニュースキャスターも経験させてもらいました。長男の妊娠を機に退社を決めた時は、恵まれたアナウンサー生活だったと感じましたし、やり切った充実感がありました。
印象深い仕事はたくさんありますが、思い返すと、入社1年目から担当させてもらった「しょんないTV」の記憶が特に濃いです。7時間ママチャリに乗り続けたり、100時間ぶっ続けでファミコンをしたり、8時間連続しりとりをしたり、「アナウンサーには、こんな仕事もあるんだ」という内容もありました。
■ファミコン→生放送の情報番組出演→ファミコン
番組名の「しょんない」は、静岡の方言で「仕方ない」、「しょうがない」という意味です。ママチャリやファミコンの企画を提案された時は、「しょんないなぁ」と思いながら、想像ができない仕事へのワクワク感がありました。
100時間ぶっ続けでファミコンをする企画は、お笑い芸人のハリウッドザコシショウさんと一緒に挑みました。私は情報番組の生放送があったので、その時間は抜けて、生放送が終わったら急いでファミコンをやりにいきました。かなり特殊な仕事ですよね。残業代がつくのか上司に聞いた記憶があります。
基本的にどんな仕事でもやってみるタイプでしたが、英語で外国人と話す企画は引き受けるか迷いました。私は小学生の頃から文系科目が苦手で、英語は全く話せません。外国人と会話ができないところを馬鹿にされる内容に抵抗があったからです。ただ、出演者やディレクターさんの助けもあって、意外と楽しめました。
ありがたいことに、「しょんない」は長く続きました。街で「しょんない見てるよ」と声をかけていただくこともありました。ただ、一方で「アナウンサーなのに何をやっているの?」と言われる怖さを感じていました。私はタレントではないので、番組を進行する役割を常に意識して、タレントさんと一緒に楽しみながらも一線を画すスタンスを忘れないようにしていました。
■アナウンサーの責任感 ニュースや災害対応は人一倍準備
バラエティのイメージが強いからこそ、ニュースや災害対応でミスしない準備は人一倍していたつもりです。出勤して発声する時は、スタジオに用意されている災害時の呼びかけをいつも練習していました。真剣なニュースを伝える時に失敗すれば、「広瀬には任せられない」と思われてしまいます。災害報道はアナウンサーにとって特に重要な仕事の1つと考えていました。
こうやってアナウンサーの頃を振り返ると、印象深い出来事をたくさん思い出します。入社1年目から「しょんないTV」を担当し、情報番組のMC、最後はニュースキャスターと、濃密な10年間を過ごせたことに感謝しています。
<プロフィール>
広瀬麻知子(ひろせ・まちこ)。千葉県我孫子市出身。2010年に静岡朝日テレビにアナウンサーとして入社し、1年目から「ピエール瀧のしょんないTV」を担当。その後、情報番組のMCや県内ニュースのキャスターを務め、2020年3月付で退社した。2018年に当時清水エスパルスでプレーしていた河井陽介選手(現在はカターレ富山所属)と結婚。現在2児の母。