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2022/09/18

準備が一番、暗示をかけたりモミモミしたり フリーアナウンサーが伝授する緊張の対処法

テレビ局に勤務していた頃の内山さん(本人提供)

■フリーアナウンサー内山絵里加さん 現在はラジオパーソナリティーや司会

テレビやラジオの生放送を10年以上続けてきても、緊張から解放されることはない。それでも、緊張でパフォーマンスを落とさない術はある。浜松市出身のフリーアナウンサー内山絵里加さんのコラム「うちやまのこばなし」。第3回のテーマは「緊張との向かい方」。自己暗示、手をモミモミ、準備。参考になるのはアナウンサーだけではない。

 

私は現在、生放送でラジオパーソナリティーをしています。11年間勤務していたテレビ局のアナウンサー時代は主に、ニュースキャスターをやっていました。どれだけ回数を重ねても、やり直しの利かない生放送は毎回緊張しています。

 

緊張には種類があると思いますが、ニュースを読む時が一番緊張しました。間違えた時の影響が大きいからです。誤った情報は、視聴者に迷惑をかけてしまいます。

 

どんなに短いVTRでも取材に協力してくださった方がいて、記者、カメラマン、音声マンの方たちが作り上げています。原稿を読む私が失敗してしまうと、そこまでに関わった方の仕事や協力を台無しにしてしまうわけです。私一人の問題ではありません。責任重大です。

 

■緊張の原因は半分が準備不足 手のツボを押して和らげることも

緊張する理由の半分は準備不足だと思います。ニュースでは時間が許す限り、内容を正確に把握して、繰り返し原稿を読みます。どこがポイントなのか、ミスしやすい部分はどこなのか、より伝わりやすく読むにはどうしたらいいのか。特に、間違えられない名前や数字には細心の注意を払います。

 

徹底的に準備した上でも緊張が大きい時は、古典的ですが自己暗示します。「準備は万全。絶対に大丈夫」、「この水を飲んだら、失敗しない」と心の中、頭の中で唱えます。それでも本番中に緊張を感じた時は、「合谷(ごうこく)」と呼ばれる手のツボを押します。

 

親指と人差し指の間にあるツボで、押すと血流が良くなって、緊張した時にも効果があると読んだ記憶があるので信じています。「ここを押せば、私は大丈夫」と。ニュースを読む時に手をモミモミしてると指摘されたことがあるのですが、今だから明かすと実は緊張を和らげるためにやっていました。

 

大勢の人の前で話すのは、生放送とは違った緊張があります。時々、講演の依頼をいただきます。これまでのアナウンサーの仕事ほど経験がないので、緊張します。まずは、やはり準備です。

 

■講演では3つの柱とキーワードで話を構成 話し方も大切

講演時間に合わせて自宅で予行練習もしますが、一番大事にしているのは「話の柱を3本立てること」です。前回の連載でお話したように、聞く人を引きつける言葉やエピソードを入れながら、3つの柱をつくって話を構成します。

 

同じ内容でも、原稿を見ないで聞いている人に視線を向けながら話した方が伝わります。できるだけ前を向いて話せるように、キーワードや見出しを箇条書きして、頭の中に入れておきます。

 

文章を暗記するのは難しいですし、予定通りに話せなかった時に軌道修正するのも大変です。大まかな構成やキーワードで話す内容を決めておくと、当日の会場の雰囲気や状況によって調整しやすいと思います。

 

話し方も大切です。色んな人の顔を見ながら、ゆっくり話すようにしています。1人を12秒見て、順番に全体を見渡します。緊張していると、自分が思っている以上に早口になります。ゆっくり話した方が相手に内容が伝わりますし、聞いている人がうなずいている様子を見ると自分自身が落ち着きます。聞いている人がうなずける間をつくるためにも、ゆっくり話しています。

 

それから、胸を開いて話すように心がけています。遠くまで通る声を出すには、姿勢が重要です。堂々として見えますし、緊張も和らぐそうです。そして、最後は自己暗示。失敗した時の想定もしますが、成功するイメージを膨らませます。特に寝る直前の記憶が大事だと思っているので、いいイメージを頭に中に描きながら眠りにつきます。

 

<プロフィール>

内山絵里加(うちやま・えりか)。19881129日生まれ、浜松市出身。浜松日体高から青山学院に進学し、2011年にSBS静岡放送入社。夕方の報道・情報番組のメインキャスターや、ラジオ番組「内山絵里加のふくわうち」のパーソナリティを担当。20224月にフリーアナウンサーとして独立。ラジオ番組は現在も継続中。その他、司会やナレーションなど幅広く活動。

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