2025/08/15
年間1000万円以上 “野球の聖地”でネーミングライツ募集 命名権広がる背景は?
■草薙球場の命名権 最低金額1000万円、5年契約で募集
野球の聖地に自社の企業や商品の名前を付けられる。静岡県が草薙球場のネーミングライツ(命名権)の募集を8月15日から開始した。最低募集金額は1000万円で、契約期間は5年間となっている。県は知名度向上や社会貢献などの効果を挙げている。
くふうハヤテの本拠地にも愛称 命名権を得た企業は大谷翔平選手と縁!?
静岡市にある「静岡県草薙総合運動場 硬式野球場」は高校野球やプロ野球の試合などが開催されており、野球ファンにとって県内で最も知名度が高い球場となっている。1934年の日米野球で後に巨人のエースとなる当時17歳の沢村栄治が、ベーブ・ルースら強打者の並ぶ米国打線を1失点に抑えた舞台としても知られる。球場入口には沢村栄治とベーブ・ルースの像が今も対峙している。
野球の聖地とも呼ばれる草薙球場で、県はネーミングライツのパートナーを募集する。ネーミングライツは球場に愛称を付ける権利で、主に企業名や商品名が使用される。
県が発表した概要によると、最低募集金額は1000万円となっている。募集期間は8月15日から10月15日まで。来年4月1日から5年間の契約となる。愛称には「草薙」を入れ、球場やスタジアムといった野球場であることを連想させる単語の使用も条件に定められている。ネーミングライツ料は県営都市公園の運営経費にあてられる。
草薙球場はプロ野球の公式戦が年1回、ファームの公式戦が7回程度開催されている。高校野球の決勝戦の舞台にもなっており、高校生以下の若者層の利用は全体の半数以上を占める。年間稼働率は86%に上るという。県はネーミングライツのメリットとして、知名度アップ、社会貢献、リクルーティングの3つを挙げている。

球場入口にはベーブ・ルースと対峙する沢村栄治の像
■自治体で増加する命名権 新たな財源確保の手段に
プロスポーツの球場では一般的なネーミングライツは近年、自治体でも活用されている。静岡県では昨年、浜松市にある「浜名湖ガーデンパーク」のネーミングライツを年間187万円で募集した。県や市町が設立した一般社団法人「ふじさん駿河湾フェリー」も年間1000万円以上で、駿河湾フェリーの愛称を募った。
ネーミングライツが増えている背景にあるのは、新たな財源の確保だ。施設の維持・管理には費用がかかり、利用料などでまかなうのは難しい。そこで、企業や個人事業主から収入を確保したい狙いがある。
ただ、自治体の思惑通りにいくとは限らない。企業側は金額に見合う効果があるのか慎重に判断するため、ネーミングライツの応募がないケースも少なくない。
(SHIZUOKA Life編集部)