2025/12/21
なぜ止まらない?教え子へのわいせつ行為 現役教師が指摘する「致命的な欠陥」
■相次ぐ教師のわいせつ行為 教え子の言動を都合良く解釈
2025年も残りわずかとなった。今年も教職員の懲戒処分が後を絶たず、中でも教え子に対する性暴力につながる行為やわいせつ行為は教育現場への不信感を増長している。処分を受けた教職員の釈明からは共通点も見えてくる。現役教師の1人は、教職員にありがちな「致命的な欠陥」を指摘する。
「一線を越えてしまった」 教え子にキスや抱きつきの高校教師が懲戒免職
2025年の終わりまで2週間を切った12月18日、県教育委員会は4件の懲戒処分を発表した。そのうちの1件は、県立高校に勤務する35歳の男性教師によるわいせつ行為だった。
教育委員会によると、この男性教師は今年8月から9月にかけ、勤務先の女子生徒に対し、校内で複数回抱きしめたりキスをしたりした。聞き取りに対し、「気持ちが浮ついて、一線を越えてしまいました」と説明したという。
教え子に対するわいせつ行為が発覚した際、自分に都合の良い解釈をして重大な“勘違い”をしている教職員が少なくない。8月に懲戒免職処分を受けた県東部の男性教師は、以前勤務していた小学校の女子児童とドライブに出かけ、人目のないところで車を停めて抱きしめたり、腰に手を回したりした。問題が明らかになった際、「異性として親密になりたかった」などと話している。
他にも、6月に高校の男性教師が教え子の女子生徒とSNSで私的に連絡を取り、校内で複数回わいせつな行為に及んだ。懲戒免職となり、「女子生徒に恋愛感情を持っていた。相手に同意があったと認識していた」と説明した。

県教育委員会が入っている県庁西館
■「勘違いに気付かない」 現役教師が指摘する“致命的な欠陥”
こうした教師によるわいせつ行為は、教師全体に占める割合を考えると、極めて少数と言える。だが、不祥事を起こす一部の教師が、教育現場への不信感を大きくしている。静岡県内の中学校に勤務する現役教師の1人は、こう話す。
「まっとうに働いている大多数の教師が、問題を起こした一部の教師のせいで迷惑を被っています。不祥事が発覚すると、生徒との私的なやり取り禁止などのルールを徹底するように言われたり、研修を受けたりします。教育委員会や学校としては何らかの再発防止策を講じる必要があるのは理解できますが、正直なところ効果があるとは思っていません」
そして、この現役教師は、教え子に対してわいせつな行為をする教師には「致命的な欠陥」があると指摘する。さらに、その欠陥は教育現場では矯正が難しいと話す。
「これは自戒の念も含まれていますが、教師は学校という閉ざされた空間しか知りません。基本的には何でも言うことを聞く児童や生徒を相手にしています。教師は圧倒的に有利な立場で子どもたちと接しているわけです」
「子どもたちは学校生活を円滑にするため、教師が嫌いでも、尊敬していなくても、表向きは従順に振る舞います。しかし、それを自分への好意と勘違いする教師が少なくありません。子どもたちは常に教師という肩書きを見ている点を忘れてしまうと、一線を越えることになりかねません。しかも、一度誤解すると、周りが子どもだらけの環境で勘違いに気付くのは難しいです」
教育委員会は児童・生徒に対するわいせつ行為や性犯罪が発覚した際、私的なやり取り禁止の再確認や研修の実施といった再発防止策を講じている。それらが無意味とは言わないが、「自分は子どもたちに慕われている」、「子どもたちに質問・相談されるのは好意を持たれているから」といった教師の勘違いを質さなければ、対策の効果は限定的になる。
(SHIZUOKA Life編集部)










