2026/08/12
なぜ街のケーキ屋が消える? 倒産件数は過去最多 静岡県内でも破産や閉店
■菓子小売業の倒産45件 1~7月の期間で過去最多
誕生日や記念日、手土産に身近な「街のケーキ屋さん」が厳しい経営環境にさらされている。ケーキ店や和菓子店など「菓子小売業」の倒産は今年1~7月に45件に達し、過去30年間の同期間で最多となった。静岡県内でも、洋菓子店が事業を廃止して破産手続きへ進むケースや、長年営業してきた店が閉店する動きが出ている。
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東京商工リサーチによると、今年1~7月に倒産した「菓子小売業」は45件に上った。製造小売を含む負債1000万円以上を集計したもので、過去30年間の同期間で最も多かった。昨年は1年間で58件だったが、今年は7カ月ですでに45件に達している。
背景の1つにあるのが物価高だ。45件のうち15件、全体の33.3%が物価高の影響を受けた倒産だった。前年同期の10件から5件増加したほか、「人手不足」が影響した倒産も5件発生している。原因別では「販売不振」が41件と91.1%を占めた。

写真はイメージ
■「人件費」と「コンビニスイーツ」 経営面で2つの課題
ケーキ店にとって負担になっているのは、原材料だけではない。静岡県内のケーキ店からは、経営を圧迫する要因として「技術が求められる仕事なので人件費が高いこと」が挙げられている。ケーキ作りには一定の技術が必要となるため、人件費を簡単に抑えることは難しいという。
もう1つ挙げられた理由が「コンビニスイーツ」だった。近年はコンビニ各社がスイーツに力を入れており、専門店も驚くクオリティの商品を開発している。次々と新商品を発売したり、広告宣伝費をかけてPRしたり、街のケーキ屋さんには難しい戦略で売上を伸ばしている。静岡市内の洋菓子店からは「価格が安くて手軽に購入できるコンビニスイーツの影響は大きい」という声も出ている。
帝国データバンクの調査でも同様の傾向がみられる。昨年度の「洋菓子店」の倒産は65件に上り、2年連続で過去最多を更新した。小麦粉だけではなく、バターやクリームなどの乳製品、カカオといった原材料に加え、包装資材、人件費、水道光熱費も上昇。一方、コンビニスイーツが中高価格帯にも進出し、特に400~600円前後の商品では価格や顧客をめぐる競争が激しくなっていると分析している。
■富士宮市の洋菓子店 相次いで閉店
静岡県内でも、ケーキ店を取り巻く厳しい状況をうかがわせる動きがある。富士宮の洋菓子店「フルーリス」を運営していた有限会社フルーリスは、昨年9月30日までに事業を停止した。約40年にわたって営業し、地元に愛される店だったという。
店頭に掲示された昨年10月1日付の張り紙には、「会社存続を断念し、事業を廃止する」と記された。さらに、静岡地方裁判所富士支部へ破産手続開始の申し立てをして、手続きを弁護士事務所に委任したことも知らせていた。
同じ富士宮市では今年4月、30年間営業した別の洋菓子店も閉店した。「夢の菓子工房 ボンヌ・ジュルネ」は4月20日をもって営業終了。店頭に掲示された「閉店(営業停止)のお知らせ」では、「諸般の事情」により営業を終えたと説明し、今後の諸手続きについては弁護士を代理人として一任したとしている。ただ、この掲示には「倒産」や「破産」との記載はなく、フルーリスとは状況が異なる。
東京商工リサーチによると、今年1~7月に倒産した菓子小売業のうち、個人企業を含む資本金1000万円未満は31件で全体の68.8%を占めた。倒産形態では45件中44件が「破産」だった。小規模な店舗を中心に厳しい状況が続いている。
原材料や人件費などのコストが上がれば、販売価格への転嫁が必要になる。一方で、消費者の節約志向が強まる中、値上げによる客離れも避けたい。さらに、手軽に購入できるコンビニスイーツなどとの競争もある。街のケーキ店は、相次ぐコスト上昇と消費行動の変化の間で難しい経営を迫られている。
(SHIZUOKA Life編集部)








