生活に新しい一色
一歩踏み出す生き方
静岡のニュース・情報サイト

検索

情報募集

menu

2022/12/03

「台風対応の遅れはコップの水が溢れる最後の1滴」 静岡市長が出馬断念したワケ

来春の静岡市長選に立候補しない考えを明らかにした田辺市長

■田辺市長が来春の静岡市長選に不出馬 台風対応の責任を明言

静岡市の田辺信宏市長は、来春の静岡市長選に立候補しないと表明した。田辺市長は対応の遅れを批判された9月の台風15号の責任を取ると説明。ただ、田辺市長を支援してきた経済界からは「台風15号の対応は、コップの水が溢れる最後の1滴に過ぎない」と指摘している。

 

来年4月の静岡市長選に立候補の意欲を口にしながら、態度を保留していた田辺市長が2日の市議会で不出馬の意向を表明した。

 

「熟慮に熟慮を重ねた結果、次期市長選に出馬いたしません。今任期をもって市長の職から身を引く決意を固めました」

 

4月の任期満了をもって市長を退き、4期目の選挙に挑まないと明らかにした田辺市長。その理由に台風15号の対応を挙げ「断水被害で多くの市民にご迷惑をおかけしました。責任を重く受け止めています」と話した。

 

9月の台風15号では、清水区で6万3000戸に及ぶ大規模な断水が起きた。復旧まで約2週間かかり、市民からは静岡市の初動を批判する声が上がっていた。

台風15号による大規模な断水で静岡市清水区の給水所には長い列

■静岡市の経済界からは「前回選挙は消去法で支援」の声

「熟慮を重ねた」という田辺市長は、これまで出馬への意欲を示していた。4選出馬を見送った理由に台風15号を挙げているが、田辺市長を支援してきた経済界の1人は、こう話す。

 

「台風15号の対応は、コップの水が溢れる最後の1滴に過ぎません。前回選挙の段階で田辺市長に対する経済界からの不満は大きかったですが、経済界が望む対抗馬がいなかったため、いわば消去法で田辺市長を支援したのが実情です」。

 

静岡市の経済界では、田辺市長の経済対策や人口減少対策を疑問視する声が小さくないという。また、川勝平太知事と距離が近い経営者も多く、川勝知事と関係が良くない田辺市長には逆風となっていた。

 

これまで自民党が全面的に支援していることもあって、田辺市長の手腕を疑問視しながらも支援してきた経営者の一部は、台風15号の対応によって田辺市長から離れる“名目”ができたという。

 

■経済界の支援を失い出馬断念 経済界の重鎮は難波氏支援を公言

象徴的だったのは、静岡市の経済界で影響力を持つ静岡鉄道の酒井公夫会長の行動だ。これまで田辺市長を支えてきたが、静岡市長選に出馬する元副知事の難波喬司氏支援を公言。この時点で、田辺市長の4選出馬は事実上、難しくなった。経済界の後ろ盾を失った田辺市長は、出馬断念に追い込まれる形となった。

 

静岡市出身の田辺市長は、1991年に清水市と合併前の旧静岡市議に初当選した。その後、県議を3期途中まで9年務め、2003、2005年の衆院選に落選。2011年の静岡市長選で初当選した。

 

来年4月の静岡市長選には現在、自民党の山田誠県議と元副知事の難波喬司氏の2人が立候補を表明している。

 

SHIZUOKA Life編集部)

関連記事