2026/09/29
「中国離れ」進む日本企業 2年で2916社減 静岡・愛知でも事業縮小や拠点撤退
■中国に進出する日本企業1万118社 ピークから約3割減
中国に進出する日本企業が2年間で2900社以上減り、過去のピークからは3割近く減少した。愛知県でも中国拠点の撤退が目立ち、静岡県では30年以上続けてきた中国子会社を手放す企業も出ている。
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帝国データバンクの調査によると、中国に進出する日本企業は2026年6月時点で1万118社となり、2024年の1万3034社から2916社(22.4%)減少した。ピークだった2012年の1万4394社と比べると4276社(29.7%)少なく、統計データのある2010年以降で最少となった。
前回調査以降に中国へ新たに進出した「新規参入」は1221社だった。一方、拠点の閉鎖や倒産、廃業などによる「撤退・所在不明」は4137社に上り、過去最多となった。
特に減少しているのが製造業だ。2024年の5139社から2026年には4206社となり、933社減った。卸売業も4218社から3320社へ898社、サービス業も1803社から1213社へ590社減っている。
製造業では、繊維や軽工業分野での減少が目立った。帝国データバンクは、現地の人件費上昇やサプライチェーン再編の影響を受け、中国一極集中を避ける「チャイナプラス1」や国内回帰などで中国外へ移転・分散した可能性もあるとしている。

高層ビルが並ぶ中国・上海
■中国に進出する愛知の企業 2015年から減少傾向
こうした動きは、製造業が集積する愛知県でも数字に表れている。あいち産業振興機構によると、2024年末時点で海外に進出している愛知県内企業は928社、拠点は4067カ所だった。企業数は6年連続、拠点数は4年連続で減少した。
中国に進出している企業は556社で、拠点は1051カ所。国別ではいずれも最多であるものの、企業数と拠点数は2015年から減少傾向が続いている。また、2024年に中国で新たに設けられた拠点は3カ所に対し、撤退は26カ所に上る。同年に愛知県企業が世界で撤退した海外拠点は56カ所で、このうち中国が46.4%を占めた。
今後の方針にも変化が表れている。海外拠点を「減少させる」と回答した29社に対象国を複数回答で尋ねたところ、中国が17社で最も多かった。拠点を減らす理由も複数回答で、「海外拠点の業績不振」が19社で最多。「コストの上昇」と「海外事業の統廃合」が各8社だった。
■静岡県の企業は中国事業縮小 事業改善は困難と判断
静岡県では、浜松市に本社を置く電子機器メーカー「ASTI」が中国事業を縮小している。同社は2025年9月、中国・浙江省の子会社「浙江雅士迪電子有限公司」で、中国のEVメーカー向けに手掛けていたワイヤーハーネス事業から撤退した。中国EV市場の競争激化に伴う納入価格の引き下げで採算性が悪化し、新規モデルの受注も難航。中国の地場企業の参入も相次いだことから、業績改善は困難と判断した。
さらにASTIは2026年6月、浙江雅士迪電子の全出資持分を中国国内の企業へ譲渡すると発表した。同社は1994年に設立され、32年間にわたり四輪車用ワイヤーハーネスや車載ECUなどを製造してきた。ASTIは譲渡理由として、中国経済の成長鈍化に加え、中国企業の競争力向上を挙げている。譲渡は9月30日に実行する予定である。
浙江雅士迪電子の売上高は、2024年12月期の約65億円から2025年12月期には約25億円へ減少した。営業損益も約4億3700万円の赤字から約8億4200万円の赤字へ悪化した。
ただ、ASTIが中国から全面的に撤退するわけではない。同社の公式サイトには、杭州市で事業を手掛ける「杭州雅士迪電子有限公司」が中国の拠点として引き続き掲載されている。

中国事業を縮小している浜松市の「ASTI」(公式HPより)
■経済の減速や人件費上昇 「中国撤退」の動き加速する可能性も
愛知県でも個別企業の事業再編が進んでいる。清須市に本社を置く豊田合成は2025年8月、中国事業の収益構造改革の一環として、天津市の子会社「豊田合成星光(天津)汽車部品有限公司」を解散すると発表した。中国での日系自動車メーカーの減産などを背景に、同社としての事業成長が見込めないと判断したとしている。
しかし、日本企業が一斉に中国から撤退しているわけではない。帝国データバンクが中国進出企業に「最も重視する生産拠点」を尋ねた調査では、中国は2026年も43.7%で最も高かった。2019年の49.0%からは5.3ポイント低下したものの、4割を超えている。
販売拠点では変化がより大きい。中国を「最も重視する」と挙げた割合は、2019年の47.7%から2026年には31.3%となり、16.4ポイント低下した。タイは4.8%から9.7%、インドは1.4%から4.9%へ上昇している。
帝国データバンクは、日本企業について、単純な「脱中国」というより、中国事業を維持しながら依存度を引き下げる方向でサプライチェーンの再構築を進めている可能性があると分析している。
中国には巨大な市場や製造インフラ、部材の調達網などが残る一方、中国経済の減速や人件費上昇、現地企業との競争など事業環境は変化している。帝国データバンクは、中長期的には中国市場への依存度を引き下げるため、現地法人の統合や閉鎖を伴う「中国撤退」の動きが強まる可能性もあるとしている。
(SHIZUOKA Life編集部)








