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2023/06/15

税金1億円投入に市民の賛否交錯 静岡マラソン無期限休止から5年ぶり再開へ

静岡市は5年ぶりの静岡マラソン開催を発表

■新型コロナと財政難で開催休止 事業費2.2倍に増額

当面休止の発表から1年経たず、再開の方針が示された。静岡市が今年度、5年ぶりに静岡マラソンを開催する。ただ、事業費は今までの2倍を超える1億円が計上されており、疑問を投げかける市民は少なくない。

 

静岡市が静岡マラソンを5年ぶりに復活させると発表した。静岡市の中心部をスタート時点とする静岡マラソンは例年1万人以上が参加する県内最大級の大会。3月上旬前後に開催されていたが、2019年を最後に無期限の休止になっていた。静岡市や静岡商工会議所などから構成する静岡マラソン実行委員会は当時、「新型コロナの感染拡大と財政難」を理由に挙げていた。

 

新型コロナの感染状況は昨年度までと比べて落ち着いている。ただ、財政難は解決されたとは言い難い。そこで、静岡市は事業費を2019年大会の4500万円から1億円まで増やす。難波喬司市長は6月の定例会見で、こう説明している。

 

「今までやっていなかったことを緊急にやることにしたので、今年度はどうしても市がこれくらいを負担しないと実現できません。今年度に開催して素晴らしいと確認され、もっとスポンサーから支援しましょうという声が出るような大会にしていきたいと思っています。来年度以降は、もっと金額を下げていけるような開催方法を考えていきます」

 

■「社会の大きな声」 難波市長が再開理由説明

無期限の休止から一転しての開催を決定。会見では記者から、今年4月に就任した難波市長の判断かたずねる質問が上がった。「田辺市政の時は(静岡マラソンは)必要ないという発言がありました。5年ぶりの開催は難波市長が決断したのでしょうか?」。これに対し、難波市長は次のように回答した。

 

「私というより、社会の大きな声だと思います。マラソンをやってほしいという声は非常に多いのではないでしょうか。マラソンの愛好家だけではなく、色んなところから声が出ています。田辺前市長が、どういうお考えで判断したか分かりませんが、私自身はやる価値のある事業だと思っていますし、市の職員もそう思っています」

 

難波市長は静岡マラソンに高い経済効果が期待され、地域ブランドを向上させる間接的な効果もあると主張した。市によると、2019年大会の経済波及効果は15億6000万円だった。

 

社会の大きな声については、「商工団体からもいろんな要望書をいただいていますし、市議会の議員の方々からも声が出ています。1億円をかけるかどうかに関しては議論があると思いますが、やらなくていいという声は聞きません」と語った。

 

■「データ示すべき」、「復活望む声聞かない」 市民から疑問の声も

難波市長は静岡マラソン復活が“市民の総意”と強調した。ただ、実際に市民に話を聞くとギャップがある。中には、マラソンをしている市民からも「財政難で中止となった大会に、今までの2倍以上の税金を投入して開催するのは疑問。マラソンコースも交通への影響が大きすぎる」と反対する。

 

他にも、「社会の大きな声というより、市長選の応援をしてもらった団体への配慮に見える。少なくとも自分の周りでは復活させた方が良いという声を聞かない」、「社会の大きな声というのであれば、圧倒的多数の市民が開催を望んでいるデータを示すべき」といった声が上がっている。

 

一方、「県外から人が来る経済効果があるし、静岡市の魅力を発信する機会にもなる」、「税金は一部の人にしか恩恵のない事業はマラソンに限らない。子育て支援は未婚の人にとっては無駄に感じる。税金は、そういうもの」など、開催に賛成する意見もあった。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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