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2023/07/26

東西に広い静岡県 地域によって変わるソースの好み 肉や魚も食文化に合わせた品揃え

タカラ・エムシーが運営するフードマーケットマム

■タカラ・エムシー上野社長「川をまたぐと食文化が変わる」

県内でも地域によって食文化は異なる。静岡県を中心にスーパーマーケットを運営するタカラ・エムシーは、エリアによって店舗で販売する調味料の種類を変えている。来店客の要望に合わせて商品を大幅に入れ替えたり、販売方法を増やしたりするという。品揃えに強くこだわり、商品を欠品させないよう社長や常務ら経営陣が従業員の“指示”を受けて車を走らせることも多いという。

 

タカラ・エムシーは静岡県をはじめ、愛知県、神奈川県、群馬県で業態の異なるスーパーを運営している。最も店舗数が多い「フードマーケットマム」は、静岡県内では東が清水町、西は浜松市まで展開。東西に広い静岡県は地域によって食文化が異なるため、店舗に並べる商品も変わってくる。

 

例えば、同じソースでも県西部は香味、中部はカゴメ、東部はブルドックの需要が高くなる。上野拓社長は「川をまたぐと食文化が変わる傾向にあります。地元出身の従業員やお客さまの声を聞いて柔軟に対応しています」と話す。香味ソースは天竜川より西、特に愛知県では圧倒的なシェアになるという。

 

うま味調味料は、静岡県内では「味の素」を求める人が多い。ただ、神奈川県では同じ味の素が販売する「ハイミー」が一般的。「いの一番」が根付いている地域もある。

 

食材も、豚のモツといえば富士川より西側は小腸、東側は大腸が主流。静岡県の店舗に並べる「トンボマグロ」は、神奈川県の店舗で「ビンチョウマグロ」と表記する。同じ魚でも、地域で馴染みのある名称にしないと売上が伸びない。

従業員から依頼されて買い出しをする時もある上野社長

■品揃えにこだわり 欠品避けるため社長も買い出し

タカラ・エムシーでは平均的な大きさの店舗をオープンする際、約5000種類の商品を揃える。そこから来店客の要望に応えていくと、8000~1万種類まで増えていく。店を改装する時、再び5000種類まで絞り込み、要望に沿って1万種類まで増やす。こうして、できるだけ来店客が求める商品を陳列できるようにしていく。

 

同じ商品でも販売方法を変えて、ニーズに応える時もある。例えば、鮮魚は刺身や切り身に加えて、頭が付いたままのものもある。自宅で干物にする要望もあるためだ。もちろん、希望があれば刺身用に下ろすこともできる。

 

品揃えにこだわりを持つタカラ・エムシーにとって、最も避けたいのは欠品。商品を切らさないように、社長や常務も動く。特に、「PRIME FOODS MARKET」と「ラコアンドエース」で並べているコストコの商品の買い出しを依頼されることが多い。上野社長は「従業員から必要な商品のリストがLINEで送られてきます。コストコには週に何度か行っています。従業員に他の業務で忙しいと言われれば仕方ないですよね。社長に恐縮している感じはないですね」と笑う。

 

静岡市で人気の商品が浜松市や神奈川県でも同じように売れるとは限らない。来店客の要望に応える柔軟性や行動力が地域に根差す店の必須条件となる。

 

(鈴木 梨沙/Risa Suzuki)

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