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2023/08/30

福島第一原発処理水放出で静岡にも中国から迷惑電話か 観光地の期待が落胆と不安に…

福島第一原発の場所を示す道路標識

■中国からとみられる迷惑電話 静岡県警にも相談5件

東京電力福島第一原発の処理水放出をめぐり、全国各地で中国からとみられる迷惑電話が相次いでいる。警視庁によると31都府県の警察に相談が寄せられており、28日正午までに静岡県でも5件の相談があった。中国の団体旅行が解禁され、静岡県内の観光地では外国人観光客の回復に期待する声が上がっていたが、落胆や不安へと変わっている。

 

福島第一原発では24日から処理水の海洋放出が始まった。日本政府は2021年4月に処理水放出の計画を発表し、国際原子力機関(IAEA)が2年間に渡って安全性を評価し、今年7月に計画を承認した。国際的に安全面に問題がないと認められた上での実施だが、中国や韓国からは反発の声が上がっている。

 

特に日本を強く批判している中国は日本の水産物輸入を全面的に禁止し、日本の漁業関係者を困らせている。そして、処理水放出後に起きた別の問題が中国からとみられる迷惑電話だ。

 

国際電話で中国の国番号を表す「86」から始まる迷惑電話が、日本各地の自治体や飲食店などに相次いでいる。警視庁によると、28日正午までに31都府県警に計225件の相談が寄せられた。内容の大半は処理水放出に対する苦情や嫌がらせだという。相談件数は福島県の74件が最も多く、静岡県でも5件となっている。

 

■中国の団体旅行規制緩和 観光地ではにぎわい回復に期待も…

こうした動きに、静岡県の観光地からは落胆の声が漏れている。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、静岡県の外国人観光客は大幅に落ち込んでいる。新型コロナ感染前の2019年の同時期と比べ、今年5月の外国人宿泊数は66.5%減少している。

 

他の地域よりも回復が遅れている理由は中国人観光客の減少がある。静岡県の外国人宿泊者は約7割を中国人が占めている。今月、中国が日本への団体旅行規制を緩和し、県内の観光地ではにぎわいが戻ると期待されていた。

 

しかし、処理水放出により日中関係が悪化し、旅行先を日本から別の国へ変更する中国人が増えると懸念されている。新型コロナ前は静岡空港からの中国人観光客が数多く訪れていた観光地では、期待が失望と不安に変わっている。

 

「ようやく中国人の団体旅行客が戻ってくると思ったら、新たな問題が起きてがっかりしています。また、仮に中国の観光客が静岡県に来たとしても、日本人観光客とトラブルにならないか心配です。新型コロナの流行が始まった頃、外国人観光客と日本人観光客の間で言い争いになったケースがありました。怒りや不満をぶつける相手を間違ってしまう人は少なくないです」

 

福島第一原発の処理水放出は、静岡県への影響も小さくない。他県や他国での他人事ではない。

 

(SHIZUOKA Life編集部)

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