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2023/08/27

「安全と安心は違う」 福島第一原発の処理水放出 静岡県知事が政府の説明不足を指摘

風評被害に対する漁業関係者の不安に理解を示した静岡県の川勝知事

■「理解と納得が区別されないままに使われている」

東京電力福島第一原発の処理水放出について、静岡県の川勝平太知事は「理解と納得」、「安全と安心」の違いを強調した。政府の対応は風評被害を懸念する漁業関係者の納得や安心につながっていないと指摘している。

 

東京電力は24日午後、福島第一原発の処理水放出を開始した。ALPSと呼ばれる「多核種除去設備」を通して大半の放射性物質を除去し、敷地内のタンクで保管している約7800トンの水を海水で希釈しながら2週間以上かけて海へ放出する。

 

国際原子力機関(IAEA)は日本が計画した処理水放出について、「IAEAの安全基準に合致している」とする安全審査の結果を公表している。政府は安全性を確保していると強調しているが、風評被害を懸念する漁業関係者は強く反対してきた。処理水放出を決定した政府に対して、川勝知事は定例会見で「理解と納得は違う」と強調した。

 

「国際原子力機関が科学的に調査したところ安全であるというのは、その通りだと思います。しかし、理解しても漁業者が納得していない。理解と納得がよく区別されないまま使われています。説明した、したがって理解していただいたと」

 

■静岡県も過去に風評被害 「丁寧な説明以外ない」

漁業関係者の不安を払しょくするには、政府が納得するまで説明する必要があると述べた。風評被害については、漁業関係者に理解を示した。静岡県も過去にセシウムが一定量を超えた場所が1か所発見された際、お茶やキノコといった県産の農作物が売れなくなった経験があったと触れ、次のように話した。

 

「処理水の放出は、化学的な数値で危険ではないと示されています。一方、風評や不安は必ずしも科学的ではないものに基づいています。安全であると言われても自分が安心というのとは違います。風評を防ぐには、科学的な根拠を丁寧に説明する以外にありません」

 

福島第一原発処理水の海洋放出をめぐっては、中国が日本の水産物輸入を全面的に禁止すると決定した。韓国でも反発の声が上がっている。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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