生活に新しい一色
一歩踏み出す生き方
静岡のニュース・情報サイト

検索

情報募集

menu

2022/08/14

夏でもおでん、冬でもかき氷 年中注文が静岡市の定番 観光客が知らない“正しい”食べ方

静岡市民は同時に注文するかき氷と静岡おでん

■観光客はおでんの後にかき氷 地元の人は同時に注文

夏を感じさせる食べ物の1つに「かき氷」がある。最近は氷やシロップにこだわる専門店も増えている。静岡県静岡市では夏だけではなく、1年を通じてかき氷を提供している店もある。しかも、おでんと一緒に。キンキンに冷えたかき氷と、アツアツのおでんを同時に注文するのが、静岡市の文化となっている。

 

静岡市街地の北側に位置する浅間通り商店街には、これから歴史をつくる新しい店舗から老舗まで、様々な業種の店が並ぶ。そのうちの1つ、1948年創業の「静岡おでん おがわ」は静岡市の食文化をつくったとされている。

 

静岡おでんは醤油をベースとした黒っぽい出汁で具材を煮込み、だし粉と呼ばれるカツオやイワシの削り節と青のりをかける。駄菓子屋で売られているのも特徴だ。「おがわ」では、みりんや砂糖を一切使わず、牛すじや練りものの旨味で出汁を取っている。

 

メニューは店頭の看板には「静岡市では『おでん』と『かき氷』を一緒に食べるのが定番!」の文字。店内には、おでんと並んで、年中食べられるかき氷のメニューが貼られている。70年を超える伝統のおでん、さらにかき氷との組み合わせは静岡県外で話題となり、観光客も多く訪れている。

静岡市にある静岡おでんの老舗「おがわ」

■静岡市の食文化をつくった「おがわ」 かつては氷の卸売り

ただ、観光客と地元の人の食べ方は少し違う。観光客はおでんを食べ終わってからデザートとしてかき氷を注文するのに対し、地元の人たちは2つを同時に注文する。季節を問わず、アツアツのおでんとキンキンに冷えたかき氷を交互に食べるのだ。

 

おでんとかき氷を年中提供し、2つを同時に注文する食文化は、「おがわ」から広がったと言われている。かつては氷の卸売りをしており、一般家庭から病院や飲食店まで幅広く需要があった。熱が出た時には氷枕用に重宝され、酒を提供する店は塊の氷を買い求めた。コンビニエンスストアが登場した頃から卸売りは辞めたものの、現在も静岡県焼津市の業者から氷を仕入れ、おでんと並ぶ看板のかき氷を1年中提供している。シロップも甘露を煮込んだ手作りと、こだわっている。

 

地方ではシャッター通りと化す商店街が増え、老舗であっても生き残りが難しくなっている。原材料費の高騰も逆風となる中、「おがわ」は大半のおでんメニューが90円。伝統の味とともに、価格も変わらないようにしている。地元で愛され、観光客も訪れる名店は、静岡市の食文化を守り続けている。

 

SHIZUOKA Life編集部)

関連記事