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2024/03/01

映画ゴールド・ボーイ 初出演の14歳が存在感 台詞の少なさ“逆手に”表現

「ゴールドボーイ」が映画初出演となった星乃さん(右)

38日公開「ゴールド・ボーイ」 星乃あんなさんの表情に注目

3月8日に全国で公開される映画「ゴールド・ボーイ」の金子修介監督と出演者の星乃あんなさんが2月29日、静岡市の映画館で行われた特別試写会で舞台挨拶した。14歳の星乃さんは複雑な心情を台詞以上に表情で表現し、初の映画出演で重要な役を演じた。リハーサルで金子監督が撮影した映像で自身の表情を確認し、鏡の前で練習を繰り返したという。

 

ゴールド・ボーイは岡田将生さん演じる東昇の犯罪を偶然カメラで撮影した中学生3人が、東昇を脅迫して大金を得ようと計画するストーリー。登場人物は誰もが本心を隠し、身近な相手にさえ隙を見せない。二転三転する駆け引きの末、衝撃の結末を迎える。

 

中学生3人のうちの1人、上間夏月を演じたのが映画初出演となったモデルの星乃さん。ストーリーの中で重要なポジションを担った。役柄の特徴は主要人物でありながら、台詞が多くないところにある。

 

台詞の少なさがかえって存在感を際立たせる理由は、星乃さんがつくる表情による部分が大きい。複雑に揺れ動く心情を言葉ではなく、目や口角で表現している。星乃さんが振り返る。

 

「台本をずっと読んで、他の役との関係性や他の役が抱えている心情を想像しながら役づくりをしていきました。台詞がない時に真顔でいると何を考えているのか分かりづらくなってしまい、映画を観ている方がつまらなく感じてしまうと思いました。シーンごとに自分が演じる夏月の気持ちを想像して表情で表現しました」

静岡市での舞台挨拶前に取材対応した金子監督(右)と星乃さん

■リハーサルの映像で表情研究 鏡の前で個人練習

星乃さんは普段、あまり喜怒哀楽を表に出さないという。「怒った表情が笑っているように見えてしまったので、修正して役に入り込みました」と鏡の前で練習を繰り返した。

 

撮影に入る前、星乃さんを含む出演者はリハーサルを重ねた。その際、金子監督がリハーサルの様子をカメラで撮影し、出演者に映像を見せていた。普段の映画以上に入念なリハーサルを重ねた金子監督は「映像を見た少年少女の3人が自分たちで考えて演じることを重要視しました」と意図を説明する。

 

星乃さんも金子監督が撮影したリハーサルの映像を確認しながら、自分のイメージとのずれを修正していった。「映像で自分の表情を客観的に見れましたし、監督がつくってくださった役に関する資料も参考にしました。現場で焦ったり、緊張したりすることはなかったです」。リハーサルで準備を整え、不安なく撮影場所の沖縄に入った。

 

■オーディションで選出 金子監督「芯の強さ感じた」

金子監督もリハーサルで出演者の完成度の高さを感じていた。星乃さんについては、こう話す。

 

「星乃さんには映画の中で同じ台詞が3回出てきますが、それぞれ心情が違うと伝えました。星乃さんからは『どのように表現するか考えていました』と返ってきました。どのように違いがあるのか私が説明するのではなく、俳優さん自身で考えることが重要だと思いました。台本上は同じ言葉でも、シーンによって意味は変わってきますから」

 

金子監督は星乃さんを含む中学生役の3人をオーディションで選んでいる。重要な役を任せた理由を「かわいいだけではない芯の強さを感じました。私は過去にアイドルの映画も撮っていますが、今までにない型にはまっていないユニークさがあります。星乃さんも他の2人もオーディションの芝居で傑出していました」と語った。

 

主演の岡田将生さんをはじめ、江口洋介さん、北村一輝さん、黒木華さんら豪華キャストの中で、星乃さんは映画初出演とは思えない存在感を示している。「重要な役どころでしたが、最後まで演じ切れてホッとしています」。その表情は上原夏月の役から離れ、本心から出た自然な笑みだった。

 

(間 淳/Jun Aida

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