2026/01/07
学習塾が消えていく… 静岡県でも進む淘汰 「三重苦」で倒産は過去最多
■2025年の学習塾倒産46件 前年から6件増で過去最多
「通っていた塾が、気付けばなくなっていた」。そんな声が今、全国から聞こえてくる。学習塾の倒産が、かつてないペースで進んでいるのだ。小規模経営の塾にとどまらず、中堅規模の学習塾にも淘汰の動きが広がっており、静岡県も無関係ではない。
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民間の調査会社・帝国データバンクの調査によると、2025年に倒産した学習塾は46件に達し、前年の40件を上回って過去最多を更新した。倒産の約9割は資本金1000万円未満の小規模塾で、地域で一定のシェアを持つ中堅規模の塾にも淘汰が及んでいる。物価高や人手不足に加え、子どもの数そのものが減る中、地域に根ざした塾ほど厳しい局面に立たされている現状が浮き彫りとなった。
背景にあるのは、少子化による市場の縮小、講師の確保難、物価高という「三重苦」だ。中小塾ではコストが上がる一方で授業料の値上げは難しく、利益を確保しにくい状況が続いている。
特に、人件費と固定費の上昇が重荷となっている。最低賃金の引き上げに加え、効率を重視する「タイパ」志向の広がりで、予習や授業外の業務負担が大きい塾講師の仕事を敬遠する学生が増えているという。講師を集めるための求人費や人件費は膨らみ、都市部ではテナント料の上昇や電気代の高騰も追い打ちをかけている。
集客のやり方も大きく変わった。かつて主流だった折込チラシから、SNS運用やリスティング広告などのデジタル施策への移行が不可欠となり、生徒1人を獲得するための費用は「数年前の2倍に跳ね上がった」という声もある。「看板を掲げれば生徒が集まる」時代は、すでに過去のものとなりつつある。
■大手学習塾は9割が黒字 中小規模の4割は赤字
一方で、強いブランド力の大手学習塾は、高額な季節講習やオプション講座、AI教材の利用料やアプリ手数料などでコスト増を吸収して増益を確保する企業も出てきている。その裏側で、地域密着型の補習塾や中堅の個別指導塾は、物価高に直面する家庭の「習い事の選別」の対象となり、生徒数の減少に苦しんでいる。
中小規模の学習塾は授業料を上げたくても難しく、売上は維持できても利益が出ない「赤字の常態化」に陥るケースが目立つ。2024年度の業績を見ると、売上50億円以上の大手塾では9割超が黒字だったのに対し、売上5億円未満の中小塾では約4割が赤字となり、収益の差は広がっている。
こうした全国の動きは、静岡県内の学習塾にも重なってくる。子ども人口の減少は塾経営にとって長期的な構造リスクとなり、帝国データバンクによると、主要な学習塾利用層となる6~18歳人口は日本全体で2019年から2024年の5年間に約5%減少。この傾向は地方都市ほど強まるとされる。
その影響を受け、静岡県内でも地域密着型塾が経営戦略を見直したり、事業承継やM&Aを検討したりする動きが出始めている。帝国データバンクは「小規模塾が生徒を確保し続けるためには、デジタル広告やオンライン授業、特色ある個別支援などへの投資がより重要になっている」と指摘する。
実際、生徒のメンタルケアやモチベーション管理といった「きめ細かな対応」を強みに、生き残りを図る小規模塾もある。ただ、大手塾が膨大な入試データとICT投資を武器に安価な「AI自立学習コース」を新設し、中堅校志望層や補習層の取り込みを進めていることで、「難関校は大手、補習は地元」という従来の棲み分けは崩れつつある。独自の付加価値を打ち出せない塾の淘汰は、2026年にかけてさらに進むとみられる。
(SHIZUOKA Life編集部)








