2026/11/02
「意地でもAIに頼らない」 試供品目当てだった広瀬麻知子さん 今は自己紹介で学生の手本
15年以上前は、試供品を目当てに企業説明会へ足を運んでいた。静岡朝日テレビの元アナウンサー・広瀬麻知子さんのコラム「広瀬奮闘中」、今回のテーマは就職活動。今では就活フェスタの司会を務め、学生の前で自己紹介のお手本を見せる側になった。苦手意識は今も消えないが、「意地でもAIには頼らない」と自分らしさを大切にしている。
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広瀬さんが司会を務める就活フェスタの様子(本人提供)
■目当ては試供品 大学生時代の就職活動
リクルートスーツ姿の学生さんを見かけると、最近は少し親近感があります。今年に入ってから、就活フェスタで司会をする機会が増えたからです。
静岡市に本社を置く「株式会社ナナクレマ」さんからご依頼いただいている仕事で、対象は建築士養成校「日建工科専門学校」の学生さんです。静岡県内だけでなく、栃木県や新潟県なども訪れています。
就活フェスタでは、企業と学生さんがお互いを知るゲームなども行われます。司会をしていると、時間が経つにつれて両者が打ち解け、よく笑い、少しずつ素の部分を出していくのが分かります。
そんな学生さんたちを見ていると、自分が就職活動をしていた15年以上前を思い出します。当時はアナウンサーを募集するテレビ局以外にも、いくつか企業説明会へ参加しました。
ただ、企業に強い興味があったというより、正直に言うと試供品が目当てでした。友達と一緒に化粧品会社や食品メーカーの説明会へ行き、会社のパンフレットと一緒にシャンプーやお菓子をもらって帰った記憶があります。

広瀬さんは就活フェスタの司会で全国各地へ(本人提供)
■就活フェスタの司会 今の学生に感心
今、司会をしている就活フェスタを見ていると、当時とは雰囲気がずいぶん違うと感じます。私が参加した企業説明会は、企業側から説明を受ける時間が中心で、学生から発言する機会はほとんどなかったと記憶しています。
就活フェスタでは企業側と学生さんが言葉を交わしながら、お互いを知っていきます。入社する前に疑問を解消できることは、入社後のミスマッチを減らすことにもつながるのだろうなと思います。
学生さんたちを見ていて感心するのは、自分の将来を具体的に思い描いていることです。それに比べると、大学生だった頃の私は「バラエティー番組が好きだからテレビ局のアナウンサーになりたい」という、かなりぼんやりした志望動機でした。アナウンサーという仕事についても、今の学生さんたちほど深く考えていなかったと思います。
■アナウンサー試験の定番 自己紹介に苦手意識
アナウンサー試験では、必ずと言っていいほど自己紹介がありました。30秒や1分など決められた時間内で自分をアピールするものから、いくつかあるお題の中から1つを選び、エピソードを披露するものまで内容は様々でした。
私が心がけていたのは、与えられた時間にかかわらず、1つのテーマを掘り下げることです。あれこれ詰め込んでしまうと、結局何も伝わらなくなる可能性があるからです。
もう1つ意識していたのが、相手の印象に残るよう、話に少しオチをつけることでした。そんな工夫をしていたものの、昔から自分のことを話すのは得意ではありません。自己紹介への苦手意識は、アナウンサーになってからも完全には消えませんでした。
■AIに頼らない意地 自己紹介を披露する立場に
そして今、ナナクレマさんの就活フェスタでは、私が学生さんの前で自己紹介のお手本を見せるコーナーがあります。15年以上前には、採用試験で緊張しながら自己紹介をしていた私が、今は学生さんの前で見本を披露する側になりました。お題に沿って30秒にまとめるのですが、立場が変わった今でも、やっぱり緊張します。
自己紹介の文章だけなら、今は生成AIを使えば簡単につくれる時代です。でも、自分のことは自分が一番分かっているはずなので、私は意地でもAIには頼らないつもりです。
苦手だからこそ、自分の言葉で考える。うまく話せない部分も含めて、その人らしさなのかもしれません。学生さんたちの前に立ちながら、私自身も改めてそう考えています。
<プロフィール>
広瀬麻知子(ひろせ・まちこ)。千葉県我孫子市出身。2010年に静岡朝日テレビにアナウンサーとして入社し、1年目から「ピエール瀧のしょんないTV」を担当。その後、情報番組のMCや県内ニュースのキャスターを務め、2020年3月付で退社した。2026年1月からセント・フォースに所属。2018年に当時清水エスパルスでプレーしていた河井陽介さんと結婚。現在2児の母。
(SHIZUOKA Life編集部)








