生活に新しい一色
一歩踏み出す生き方
静岡のニュース・情報サイト

検索

情報募集

menu

2023/01/06

生放送で首や手や声が…… 元ニュースキャスターが実践した緊張の対処法

赤間さんは生放送を緊張の連続だったと振り返る

■静岡の元アナウンサー・赤間優美子さん 「人前に出るタイプではなかった」

静岡のテレビ局でニュースキャスターをしていた赤間優美子さんは、アナウンサーになってから自分が緊張するタイプだと知った。今回のコラムのテーマは、「緊張の対処法」。生放送は緊張の連続で、やり直しもきかない。緊張を和らげる術と緊張しても失敗しない方法を模索していた。

 

子どもの頃、積極的に人前で話をするタイプではありませんでした。大勢の人を前にするのは中学生の時に学年の前で発表する機会があったくらいで、自分が緊張するタイプかどうかを考えたことはありませんでした。もしかしたら、他の人よりも緊張しやすいかもしれないと感じたのは、アナウンサーになってからです。

 

私の場合、首元が赤くなるのは緊張している時の分かりやすい変化です。それから、手が震えます。カメラの前で話す時は常に緊張状態で、原稿を持つ手が震える時もありました。周りからは表情や声に緊張は出ていないと言われていましたが、自分では声が震えているのも分かります。

 

生放送は予定通りに進まないケースが多々あります。想定外が起きても番組は止められません。緊張は失敗につながる原因となります。実際、スタジオで起きたハプニングに動揺して、原稿の一部を読み飛ばしてしまった経験もあります。

 

■緊張の原因は自信のなさ 不安乗り越える準備と想定

緊張を克服したくて、そもそも何で緊張するのか考えた時がありました。原因や理由を掘り下げると、行きつくのは不安や自信のなさでした。言い間違いを心配している時や、番組内に完全にはイメージできていない部分がある時は、ミスにつながりやすいです。

 

緊張を乗り越えるための近道はなく、不安要素を1つ1つ潰していくしかないと思いました。普段からニュースを見る、新聞を読む、発声練習をする、注意するポイントを念入りに確認して原稿の下読みをするといった積み重ねが想定外を減らすと同時に、自信につながります。自信があれば、緊張のレベルを下げられます。

 

また、失敗の原因を明らかにして、次に同じことが起きた時の備えをするのも大切です。たとえハプニングで原稿をどこまで読んだか分からなくなったとしても、確実に読んだ箇所まで戻って読み直せば、少なくとも読み飛ばす最悪の事態は回避できます。不安要素をクリアしていくことで、年々、過度に緊張する場面は減りました。

 

下準備が緊張の度合いに影響するので、本番直前に原稿が手元に来る時や、ギリギリのタイミングで原稿が差し代わる時は、緊張を抑えるのが難しかったです。そういう時は気持ちを落ち着かせてから、欲張らないよう自分に言い聞かせます。

生放送は予定通りに進行しないことも日常

■「緊張は悪くない」 不測の事態では優先順位が重要

ニュースを伝える際、意識していることやこだわっていることがいくつかありました。中でも大事にしていたのは「正確さ」と「分かりやすさ」です。ただ、本番まで一度も目にしていない原稿は、内容の予測しかできません。声の強弱をつけたり、スピードを変えたりして、ニュースの肝を伝えるのは至難の業です。

 

そういう状況では、分かりやすく伝えることよりも、私が最も重要だと考えている「正確さ」に集中しました。本来は分かりやすく正確に伝えたいですが、欲張らず確実に正しい情報を伝えようと徹底しました。

 

緊張するタイプの人が、緊張しなくなるのは難しいと思います。でも、準備の仕方や考え方で、緊張を和らげたり、緊張しても失敗を避けたりはできます。

 

私は緊張で首元が赤くなっても気にしないようにしました。「赤くなるのがダメ」と思うと、さらに緊張してしまいます。ある程度は緊張するもの、緊張するのは悪くないと考えるようになって、失敗が少なくなりました。

 

<プロフィール>

赤間優美子(あかま・ゆみこ)。神戸市出身。2014年に静岡朝日テレビにアナウンサーとして入社、夕方の情報ワイド「とびっきり!しずおか」で気象コーナーを担当。その後は4年間「県内ニュース」のキャスター。事件事故の取材や中継、選挙や台風の特番のMCも務める。また、時事ネタを中心に街頭インタビューで1000人以上の声を聞き、原稿執筆やVTR制作にも従事。そのほか、朝日放送の「朝だ!生です 旅サラダ」の中継コーナー、 静岡朝日テレビ開局40周年記念特別番組「池上彰と学ぶ  なるほど!富士山7つの秘密」などに出演。

関連記事