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2023/09/27

呼吸法で野球のパフォーマンスが変わる 理学療法士が静岡県初のサロンスタート

掛川市に「GFconditioning」をオープンした甲賀さん

■掛川市の「GFconditioning」 県高野連のメディカルサポート代表・甲賀氏が運営

トレーニングで筋力アップしているのにパフォーマンスが上がらない原因は、呼吸にあるかもしれない。静岡県掛川市に野球選手の障害予防からパフォーマンスアップまでをサポートするサロン「GFconditioning」がオープンした。サロンを運営するのは、県高校野球連盟メディカルサポート代表も務めている理学療法士の甲賀英敏さん。トレーニングに正しい呼吸法を組み合わせると、パフォーマンスアップが期待できるという。

 

甲賀さんは今年8月に独立するまで、理学療法士として掛川市内の総合病院に21年間勤務した。高校野球界で長年、選手の肩や肘をチェックして怪我を予防する役割を果たし、昨年には「メディカル」、「フィジカル」、「テクニック」の三位一体による育成型の指導を掲げる少年野球チームを立ち上げた。

 

甲賀さんは自身が代表を務める少年野球チーム「グッドフェローズ(GF)」に加えて、中学や高校の野球部などでも怪我を予防しながら、トレーニングによってパフォーマンスを上げる方法を指導している。

 

独立して8月に開業した「GF conditioning」では、これまでの経験に加えて新しいアプローチも取り入れている。それは、「きほんの呼吸®」。正しい呼吸法を身に付けると、筋力トレーニングや普段の練習の効果が上がると言われている。

甲賀さんは静岡県で初めて「きほんの呼吸®呼吸トレーナーC」を取得

■元メジャーのトレーナーから呼吸法学ぶ 静岡県初の資格取得

甲賀さんは、メジャーリーグのダイヤモンドバックスでアスレティックトレーナーを務めた経験を持ち、現在は京都にある呼吸専門サロン「ぶりーずぷりーず」の店主・大貫崇氏のもとで呼吸法を学び、「きほんの呼吸®呼吸トレーナーC」の資格を取得した。この資格を持っているのは静岡県で唯一だという。書籍を読んで呼吸に興味を持ち「普段当たり前のようにしている呼吸には可能性があると感じました」と知識を深めた。

 

「きほんの呼吸®」では胸骨の傾斜や肋骨が開く角度などを測定し、呼吸のタイプや姿勢を分類する。ウエイトトレーニングを強化している選手は大胸筋や広背筋が大きくなり、その筋肉が呼吸の邪魔をしているケースが少なくないという。

 

大胸筋も広背筋も胸郭についているため、筋肉が硬いと胸郭の動きが制限される。胸郭は野球で重要な回旋運動に影響するため、打撃でも投球でもバットやボールに力が十分に伝わらない。パフォーマンスが落ちるだけではなく、胸郭が上手く機能しないと肩や肘、腰に負担がかかって怪我のリスクも高くなってしまう。

 

胸郭の動きが制限されると、お腹しか動かない呼吸に偏り、呼吸数が多くなって交感神経優位の状態になる。胸郭の動きが良くなるように動きを邪魔している筋肉をほぐし、理想的な呼吸法を身に付けると、呼吸によって自律神経をコントロールできるようになるという。試合後や練習後も交感神経優位の状態が続くと、体が休まらず、眠りも浅くなる。睡眠で疲れを取れなくなれば、怪我につながる悪循環に陥る恐れがある。

甲賀さんは育成型の少年野球チーム「グッドフェローズ」も運営

■1日約2万回 呼吸が体幹や筋力トレーニングに

呼吸は息を吸った時に胸が同時に膨らみ、吐いた時に同時にしぼむ動きが理想とされる。甲賀さんは、こう説明する。

 

「呼吸時に胸の動きが少なく肋骨が外旋状態にある人は胸郭のトレーニングをするより、1日約2万回すると言われている呼吸を整える方が効果的なトレーニングになります。きほんの呼吸®は胸郭の可動域を広げ、息を吐いた時の肋骨の内旋を促して胸腔内にたまっている空気を抜くことで、体幹で重要な筋肉も鍛えられます。呼吸がトレーニングになるわけです」

 

胸郭の動きが悪くなる他にも、筋力を鍛えているスポーツ選手は肋骨が開いている傾向が強いという。肋骨が開いた状態でスクワットをすると筋力の数字は上がっていくかもしれないが、筋肉が回旋動作の妨げになる可能性がある。肋骨の角度や呼吸動作をチェックしながら筋力をつけることで、高いトレーニング効果が期待できる。

 

筋肉と呼吸。一見関わりがなさそうな2つの要素を組み合わせると、直面している課題や悩みを解決するヒントが見つかる可能性がある。

 

(間 淳/Jun Aida

★甲賀さんが解説 自宅でできる呼吸のエクササイズ

 

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