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2023/01/21

どうする家康とコラボ 静岡県の老舗和菓子店が新商品発売 モチモチ生地の中には…

1月21日から田子の月の店舗で販売が始まった天下泰平御蔭餅

■創業70年「田子の月」 新商品「天下泰平御蔭餅」発売開始

天下統一した家康のように、静岡県内、さらには全国へと勢力を拡大しようとしている。静岡県富士市に本社を置く老舗和菓子店「田子の月」が21日、NHKの大河ドラマ「どうする家康」とコラボした新商品「天下泰平御蔭餅(おかげもち)」の店頭販売を始めた。徳川家康が愛した本山茶(ほんやまちゃ)を使った餡をモチモチの生地で包み込んだ商品で、「歴女」を意識したパッケージのデザインまでこだわりが詰まっている。

 

8日にスタートしたNHKの大河ドラマ「どうする家康」は、静岡県内で今年の大きな話題の1つなっている。初回放送日に合わせて、主演の松本潤さんらが静岡市と浜松市で出陣式を行い、静岡市歴史博物館や大河ドラマ館といった関連施設も次々にオープンする。

 

菓子業界にも家康関連で注目されている商品がある。「もなか」や「富士山頂」などの商品で知られる富士市の和菓子店「田子の月」が、21日から販売を始めた「天下泰平御蔭餅」。モチモチの生地と富士山の形で人気を集める「富士山御蔭餅」を家康バージョンの商品だ。

 

商品の特徴は中身の餡にある。本山茶の抹茶を使った白あんにアクセントで小豆を加えた。本山茶は静岡市内を流れる安倍川・藁科川の上流域で生産されるお茶で、徳川家康も愛したと言われている。

味にもパッケージにもこだわった天下泰平御蔭餅

■徳川家康が愛した本山茶使用 パッケージは“歴女”意識

田子の月では、これまでに抹茶を使った和菓子を販売しているが、玉露の日本三大産地で有名な藤枝市岡部のお茶を主に使ってきた。本山茶を使用するのは創業70年の歴史で初めてだという。

 

本山茶は渋みが少なくて甘みが強い。その良さを生かしながら、ほんのり甘い生地とのバランスを調整。小豆の量や硬さも試行錯誤し、立案から約半年をかけて販売へと至った。商品開発室の部長を務める尾鷲和文さんは「知識や技術を出し尽くした商品です」と自信を見せる。

 

商品はもちろん、パッケージもこだわった。「どうする家康」のロゴに加えて、葵の御紋をデザイン。この御紋は家康を祀る静岡市にある久能山東照宮から協力を得たという。

 

中央で存在感を見せる家康をモチーフにした武者は、近代的な姿で描かれている。「歴女」、「城ガール」、「武将萌え」などと呼ばれる歴史好きな女性や、和菓子より洋菓子に親しみがある若い世代にも関心を持ってもらう狙いがある。

店頭に並べられた天下泰平御蔭餅

■家康を起爆剤に 未開拓エリアに販路拡大へ

田子の月は、静岡県内では知らない人がいないくらいの老舗。今回の商品では県民に加えて、全国への発信にも力を入れる。総務部長の望月洋平さんは「静岡に縁の深い家康の商品を多くの県民の方に味わってもらいながら、未開拓のエリアや観光客の方々にも積極的に広げていきたいと思っています」と力を込める。

 

近年は和菓子離れが加速しているとも言われている。新型コロナウイルス感染拡大により、冠婚葬祭のように大勢で集まる機会や手土産を買う回数は減り、和菓子業界にも逆風となっている。だが、老舗のプライドと使命感に陰りはない。尾鷲さんは言う。

 

「品質の良くないものを食べて和菓子に悪い印象を持っている人は少なくないと思います。私たちがしっかりとした商品を広めて、印象を変えていかなければいけないと思っています」

 

望月さんも「お菓子を通して、渡す方、もらう方、食べる方を笑顔にする役割を果たしたいと考えています。お客さまが求めているもの、使っていただくシーンを想像しながら、商品を届けていきたいです」と力を込める。

 

「天下泰平御蔭餅」は県内にある田子の月の店舗のほかに、駅や高速道路のサービスエリアで販売している。1個180円。オンラインでの購入も可能で、県外での販売場所も模索している。

 

(間 淳/Jun Aida

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