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2023/08/08

猫の殺処分は大幅に減少 目標のゼロには何が必要? 専門家「行政にも限界ある」

避妊去勢手術済みの印で耳がカットされている猫

■静岡県の殺処分は昨年度101匹 2015年度は1835匹

静岡県で殺処分される猫の数は大幅に減っている。ただ、目標に掲げている殺処分ゼロには至っていない。昨年からはマイクロチップが義務化され飼育放棄する飼い主が減ると期待されるが、専門家は「行政にも限界がある。おおもとの問題を解決しなければならない」と力を込める。

 

静岡県健康福祉部衛生課によると、昨年度に殺処分された猫は101匹だった。2015年度の1835匹、2018年度の527匹から急激に減少しているが、目標に掲げている「殺処分ゼロ」には至っていない。

 

行政が一定の効果をあげている背景には、避妊去勢の徹底や飼育放棄の禁止といった飼い主への啓発に加えて、飼い主のいない猫に対する地域活動の推進がある。野良猫を捕獲(Trap)し、避妊去勢手術(Neuter)をしてから、元の場所に戻す(Return)活動で、頭文字をとってTNRと言われている。望まない妊娠を回避し、野良猫をその世代で終わらせるように地域で責任を持って世話する。

 

TNRには避妊去勢の費用が必要になる。負担軽減に協力しているのが、静岡市にある「あん動物病院」。院長を務め、一般社団法人「静岡市夜間救急動物病院」の副代表でもある大石将司さんは「行政にも限界があります」と指摘する。

 

「殺処分をなくすには、生まれるところ、おおもとの数を減らさなければいけません。それでも生まれてきた子猫には受け皿が必要で、その役割をボランティア団体や私たちのような動物病院が担っています」

 

■マイクロチップ義務化に効果 一番大切なのは飼い主の責任

殺処分の減少に期待されているのが、飼い主による飼育放棄を防ぐマイクロチップ。昨年6月からペットショップやブリーダーから購入する時は、ペットにマイクロチップを入れることが義務化された。知人らから譲り受けた猫や保護猫は対象から外れているが、大石さんは「義務化されたので、マイクロチップを入れないと駄目と啓発できるのは飼育放棄の軽減につながると思います」と効果に期待した上で、こう話す。

 

「一番大切なのは、最後まで面倒を見る飼い主の責任です。生活環境や家族構成が変わっても、一緒に生活し続けられるか考えてから、ペットを迎え入れる必要があります」

 

猫は15年から20年生きると言われている。当然、金銭的な負担はある。猫も人間と同じように、年を取るほど健康面の不安が大きくなって医療費もかかる。ライフスタイルの変化や自身の健康面など、様々な要素を想像した上で飼えると判断しなければ、動物の遺棄や虐待、飼育放棄につながってしまう。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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