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2023/09/06

福島第1原発の処理水放出で風評 静岡県の宿泊施設にも影響 知事は中国の対応批判

川勝知事は福島第1原発の処理水放出をめぐる中国の対応を批判

■海外観光客が予約キャンセル 魚を提供しない宿泊施設も

東京電力福島第1原発の処理水放出による風評被害は静岡県にも及んでいる。川勝平太知事は5日の定例会見で、海外観光客から予約をキャンセルされた宿泊施設や、魚の提供を控えている宿泊施設があると明かした。過去に中国が福島第1原発の6倍以上の濃度の処理水を放出したケースを例に出し、日本の風評被害を広げている中国の対応を批判した。

 

福島第1原発の処理水は先月24日、海洋放出が始まった。この処理水は国が定めるトリチウムの基準値より大幅に薄めて放出されおり、国際原子力機関(IAEA)も安全性を認めている。しかし、中国を中心に日本の海産物の輸入を制限する動きが広がり、日本の漁業関係者は風評被害に悩まされている。

 

静岡県が県内の主な水産業者に聞き取りをしたところ、現時点で大きな影響は確認されていない。ただ、宿泊施設は打撃を受けているという。川勝知事は5日の定例会見で次のように述べた。

 

「残念ながら、県内経済への影響が出ています。日本は科学的根拠に基づく説明をしているにもかかわらず、中国の国番号86で始まる不審電話が相次ぎ、県内への団体旅行のキャンセルなどの影響が出ていることを誠に残念に思っています」

 

県によると、県内の一部のホテルや旅館で海外観光客から宿泊のキャンセルが出ている。海外旅行客に対して、食事に魚を出さない宿泊施設もあるという。川勝知事は「県の上海事務所を通じた正確な情報発信、旅行需要の喚起に取り組んで本県への誘客を図っていきます。中国本土で日本製品の不買運動の動きが見られることから、本県の農産物や工業製品を含めて県内企業の輸出、輸入の影響を注視していきたいと思います」と話した。

 

■中国の原発で2020年に処理水放出 福島第1原発の6.5倍

会見では国が公表している資料を参考に福島第一原発の処理水放出の安全性を訴え、中国の対応を批判した。国によると、福島第1原発が放出する処理水の量は年間22兆ベクレル。一方、中国の泰山(チンシャン)第3原発は2020年に福島第1原発の6.5倍にあたる143兆ベクレルを放出している。

 

2021年にも陽江(ヤンジャン)原発で112兆ベクレル、紅沿河(ホンヤンフ)原発で2021年に液体で90兆ベクレルを放出。川勝知事は「中国の科学者は政府を通して、福島第1原発の処理水が危険なのかどうか中国国民に科学的に説明することが重要だと考えています」と指摘した。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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