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2023/10/24

安売りで経営悪化…全国の食品スーパー3割超が赤字 7割以上のスーパー赤字の県も

地方の小、中規模を中心に苦境に立たされているスーパー

■赤字+減益のスーパー68.8% 過去最高を更新

食品の値上げが家計の負担となっている。複数のスーパーマーケットのチラシを比較して、少しでも安い商品を買い求める人は少なくないだろう。その裏で、光熱費や人件費の高騰を商品価格に転嫁できず、赤字に追い込まれるスーパーが地方を中心に増えている。全国にあるスーパーの約3分の1は昨年度、赤字だったという。

 

10月時点で今年値上げされた食品が3万品目を超える異例の値上げラッシュとなる中、全国の中小食品スーパーが苦境に立たされている。民間の調査会社「帝国データバンク」によると、昨年度の損益状況が判明した全国約1100社のうち、31.3%に当たる349社が赤字だった。

 

さらに、前年度から減益した会社も37.5%に上っており、赤字と合わせて業績が悪化した会社の割合は7割近くとなっている。これは新型コロナウイルス感染拡大前の水準で、過去最高を更新した。

 

赤字となったスーパーの割合を都道府県別にみると、最も深刻なのは鳥取県で、赤字の割合は71.4%に上った。その他にも、徳島県が60.0%、滋賀県と岐阜県が50.0%と半数以上となっている。

 

■生き残りのカギは「価格競争以外の訴求力」

赤字の原因は、光熱費や人件費の高騰を商品に転嫁できていない部分が大きい。帝国データバンクによると、スーパーの4割以上が食品などの仕入れ価格上昇に対して、50%以上の価格転嫁ができていると回答している。価格転嫁率の平均は47.0%で、全業種平均の43.6%より高い。

 

一方、電気、ガス、水道といった光熱費や最低賃金の上昇による人件費の負担増を商品価格に乗せることに抵抗が多いスーパーは多いという。その結果、収益を押し下げる要因となっている。また、割安なプライベート商品を展開する大手スーパーに対抗するため、中小スーパーは赤字覚悟の安売りや特売をせざるを得ない状況もある。

 

節約志向の高まりなどでスーパーの利用自体は増えていても、利益の出ない価格で商品を販売すれば赤字が膨らんでしまう。帝国データバンクは「客足好調な地場スーパーでは扉付きの冷凍・冷蔵庫の導入による節電で光熱費を抑えているほか、セミセルフレジや商品の自動発注などのデジタル化でコストを削減しているケースが多くみられる。独自性を打ち出しやすい惣菜で粗利を確保し、定価価格戦略の原資にするスーパーもあり、単純な価格競争以外の訴求力が必要になってくる」とまとめている。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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