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2024/02/02

面接で「アナウンサーに向いてない」の指摘 不合格の連続から得た教訓と対策

緊張する人が多い就職試験の面接

■元静岡朝日テレビ赤間優美子さん 面接途中に「もうダメだ」

面接では「アナウンサーに向いていない」と言われた経験もあるという。元静岡朝日テレビのアナウンサー赤間優美子さんによるコラムは、前回に続いてアナウンサー試験について。対策を練って書類審査を通過できたものの、面接は不合格の連続だった。

 

アナウンサー試験では、全国にある20局くらいに書類を提出しました。面接したくなる書類作成を意識し、ほとんどで審査を通過しました。ところが、面接は全くダメでした。1次面接や2次面接での不合格が続き、かなり落ち込みました。

 

面接は緊張して、自分でも訳の分からないことばかり話してしまいました。混乱してしまい、集団面接で質問と全く関係ない話を長々としてしまうなど、思い出すのも恥ずかしいことがたくさんあります。面接の途中で「もうダメだ」と結果が見えていました。

 

顔には表れませんが、私は緊張しやすいタイプです。アナウンサー試験を受ける前から自覚していました。あるテレビ局では、面接官に「君はアナウンサーに向いてないよ」と言われたこともあります。それは、緊張が見抜かれていたからだと思います。

 

私は緊張すると首元が赤くなります。それまでは気付きませんでしたが、緊張が体に表れると知ってから「緊張してはいけない」という気持ちが強くなってしまいました。

アナウンサー時代は生放送の選挙特番でMCをしていた赤間さん(本人提供)

■失敗の原因は「緊張」 不安要素を潰す面接対策

緊張で首元が赤くなることは、アナウンススクールの先生に相談しました。落ち込んでいる私に「そんなこと気にしなくて良い」と声をかけて、ファンデーションを首元に塗れば問題ないとアドバイスしてくれました。

 

面接で失敗を繰り返す原因は「緊張」。それは明らかでした。緊張すると上手く話せなくなってしまいます。では、なぜ必要以上に緊張してしまうのか。理由は準備不足だと感じました。

 

想定外の質問をされて動揺し、ペースが崩れたまま自分をアピールできずに面接が終わっていました。そこで、不安要素や弱点を1つずつ潰そうと決めました。緊張で赤くなる首元にはファンデーションを塗り、あまり首元が出ない服装で面接に臨みました。上手く対応できなった質問や想定される質問を洗い出し、それぞれ具体的なエピソードを交えて答えられるように準備しました。当時、人生で一番頑張った時期かもしれません。

 

静岡朝日テレビの試験は書類を提出したテレビ局の中では最も遅い時期でした。10社以上から不合格の通知を受け取り、悔しい思いを重ねて臨みました。実は、ここでダメだったらアナウンサーはあきらめようと思っていました。

 

準備を万全にした自信もあって、静岡朝日テレビの面接には手応えがありました。変わった質問としては「自分の顔で好きなパーツは?」というものがありました。「口角です。ただ、ほうれい線は気になります」と答えた記憶があります。面接以外にはグループディスカッションがありました。局のマスコットを使った企画を考えるテーマでしたが、想定していた内容でした。

取材先でメモをして準備する赤間さん(本人提供)

■前日に“下見” 面接では「嘘をつかない」

私は兵庫県出身で、通っていた大学は東京都にありました。静岡県には入社するまで訪れたこともありませんでした。静岡朝日テレビを含めて、縁のない地域にあるテレビ局を受ける時は必ず事前に“下見”をしていました。試験日よりも早く現地に入って観光地を巡ったり、試験を受ける局の自社制作番組を観たりするわけです。

 

静岡では富士山に登っておこうと、富士宮まで行きました。でも、登山シーズンではなかったので浅間大社でお参りをして、街を散策しました。その土地で働くイメージを少しでも持ってから試験に臨むことは大切だと感じています。

 

面接で心掛けたのは「嘘をつかないこと」です。分からないことは正直に伝え、間を怖がらず1つ1つの質問に対して丁寧に答えるように意識しました。静岡朝日テレビから内定をもらったのは大学4年生の4月。同じ時期に、別の局からも内定をいただきました。序盤に受けたアナウンサー試験の失敗を教訓にできたのかなと思っています。

 

新卒採用の方は、間もなく就職試験が始まる時期です。私はテレビ局と、その後に転職したIT関係の企業で入社試験を受けました。他の業種でも共通しているのかもしれませんが、採用を勝ち取る道は「どれだけ準備できるか」に尽きると考えています。準備に不安があると、面接で過度な緊張や自信のなさにつながってしまいます。上手くいかずに落ち込む時期があっても、失敗を次に生かす気持ちを持ち続けることが大事だと思います。

 

<プロフィール>

赤間優美子(あかま・ゆみこ)。神戸市出身。2014年に静岡朝日テレビにアナウンサーとして入社、夕方の情報ワイド「とびっきり!しずおか」で気象コーナーを担当。その後は4年間「県内ニュース」のキャスター。事件事故の取材や中継、選挙や台風の特番のMCも務める。また、時事ネタを中心に街頭インタビューで1000人以上の声を聞き、原稿執筆やVTR制作にも従事。そのほか、朝日放送の「朝だ!生です 旅サラダ」の中継コーナー、 静岡朝日テレビ開局40周年記念特別番組「池上彰と学ぶ  なるほど!富士山7つの秘密」などに出演。

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